西川善司の3Dゲームファンのための「GRAVITY DAZE」グラフィックス講座(後編)

 前編はPS VitaのGPUテク…というか、PowerVRテクにまつわる話がメインでしたが、後編となる今回は、テーマをグラフィックス表現の方にフォーカスした内容としました。

 一般的なセルシェーダ(トゥーンシェーダ)とはひと味違った、独特な「バンデシネ」シェーダの解説から始めています。

 要点としては陰影を3階調に分断しつつ、記事では「女優ライト」…と記した、いわゆるカメラライトを追加で焚いて陰影を調整しているようです。これにより、トゥーンシェーディングでは埋もれがちな法線マップなんかのディテールも際立たせることに成功しているようですね。


西川善司の3Dゲームファンのための「GRAVITY DAZE」グラフィックス講座(後編)
PowerVR系アーキテクチャの限界を超えた先に実現した「バンデシネ」スタイルグラフィックスの妙技

http://game.watch.impress.co.jp/docs/series/3dcg/20130213_586956.html

 輪郭線についても、凝った作りになっていて、2つの方法を組み合わせて実践しています。

 「最遠景はライティングやシェーディングを省略して、ジオメトリレンダリングのみと線描だけ」…としているわけですが、これがパフォーマンス稼ぎになっているのと同時にアーティスティックな表現となっていることに感銘を受けます。

 影生成に関しても、秀逸なコントロールが実践されています。

 限定的な容量のシャドウマップで近景と遠景のクオリティを均一化する彼らのテクニックは、携帯ゲーム機以外…据え置き機なんかでも十分使えそうです。



 エフェクト関連のシェーダも秀逸です。

 物量でどうにかするのではなく、「いかに低負荷で」「派手に見せるか」に、こだわって製作しており、その動機はもちろん、あまりパワーリッチではない携帯ゲーム機の仕様にあわせるためだったんでしょうけど、そのアイディアの斬新さには感動を覚えます。

 例えば、下の敵の破壊エフェクトですが、パーティクルは一切使っておらず、ジオメトリとしてはシンプルな多面体モデル1個だけです。その単一モデルに対して、記事中でも紹介したテクスチャスクロールとそのテクスチャのαチャネル閾値操作による発現・消失アニメションを組み合わせ、さらにVertex Texture Fetchingによるジオメトリ摂動で揺らぎを与えているだけで、ここまでの表現を実践しているんですね。



 というわけで、GRAVITY DAZEチームには、次回作への期待も高まるわけですが、その詳細については一切語ってくれませんでした。

 ただ、「話したいけど話せない」的な雰囲気は溢れ出ていたので(笑)、現在、なにかしらのプロジェクトを進めているようです。

 それがPS Vita向けなのか、それとも次世代プレイステーション向けなのかは、分かりません…。



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