西川善司の大画面☆マニア第161回:世界初4Kテレビの実力 東芝「55X3」

 今回の大画面☆マニアは東芝レグザの最高位モデル「55X3」です。

 55X3は世界初の4K2Kパネル採用テレビで、民生向けテレビとしては最大サイズの裸眼立体視テレビでもあります。

 裸眼立体視時は1280×720ドット相当の3D映像が得られ、2D表示時は4K2Kの表示が行えるというのが特徴です。

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西川善司の大画面☆マニア第161回:世界初4Kテレビの実力 東芝「55X3」
~4Kと裸眼3Dに感じる期待と課題~

http://av.watch.impress.co.jp/docs/series/dg/20120420_527534.html

 3D立体視については、メガネいらずで楽しめる3Dテレビとしては55インチは現状最大級ですので、55X3にはオンリーワンの価値があります。

 9視差対応なので意外に視野角は広く、4K2Kパネルを採用していることもあって、たしかに720p相当の3D映像の実感はあります。クロストークも奨励位置から見る分にはそれほどひどくはありません。

 4K2Kについても同様のオンリーワン・スペックですが、現時点では4K2Kコンテンツがないので、東芝が誇る超解像技術でフルHDソースを4K2K化して表示する使い方となります。個人的には、「映像が高精細化する」というよは、「エイリアシング・フリーなアナログチックな描画になる」…という印象の方が強かったのですが、いずれにせよ、55X3ならではのオンリーワン画質が楽しめました。



 ただ、いくつかの課題も見えてきました。

 実際に使ってみて「おっ」と思ったのは、裸眼立体視において左右の視野角は予想以上に広いのですが、視聴距離の遠近に対しては非常にクリティカルということです。近づきすぎても遠すぎても理想的な3D映像が得られません。3D眼鏡を掛ける方式は、ここまではシビアではないですから、眼鏡を掛けなくていいという自由度を得た代わりに、奨励された位置範囲で見よ…という制限が与えられた感じはあります。

 それと、多視差変換に処理時間が掛かるため、表示遅延が13フレームにもなってしまう点も気になりました。ゲームを3D裸眼立体視でプレイしたいという向きには少々辛いと思います。一応、救済機能として表示遅延は約5フレームにまで短縮出来る2視差モードも用意されていますが、いずれにせよ、ゲームプレイとの相性はあまりよくはありません。

 液晶パネルメーカーもこれまでのレグザと違うためか、発色の傾向がコレまでのレグザと違う点もちょっと気になりました。

 思い返せば初代CELLレグザも夢一杯の製品でしたが、実際に不満なく使える製品となったのは第二世代の55X2になってからでした。

 今回も次世代の55X4(?)でホンモノの4K2K×裸眼立体視テレビになるのかな、という気がしています。

 テレビ製品で、こういう"攻め"の製品を投入してくるのはいまや東芝だけになってしまったので、今後もこうした野心的なモデルの開発は継続して欲しいと思っています。

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