スクエニ流“実写クオリティ”のゲームグラフィックスの作り方

 スクウェア・エニックスの次世代ゲームエンジン「Luminous Studio」を3Dゲームファンのためのグラフィックス講座で取り上げたわけですが、Luminous Studio開発チームは、このLuminous Studio開発プロジェクトの過程で培った技術の数々を、ゲーム業界に広く還元していくという意味合いで、無料の技術カンファレンスを開催しました。

 「閉塞感漂うゲーム業界の現状を鑑みるに、今となっては技術の囲い込みをやっている場合ではなく、日本のゲーム業界が世界と闘い続けられる力を維持するためには、広い意味での技術共有を行って、その中で互いに競争を行っていくべき」というLuminous Studio開発チームの熱い想いが主導になって開催が実現したのだそうです。

 ボクは、この技術カンファレンスで開催されたセッションのうち、グラフィックス技術関連のものをピックアップしてレポートしました。それがこの記事になります。


スクウェア・エニックスの次世代ゲームエンジンのグラフィックスの全て
スクエニ流“実写クオリティ”のゲームグラフィックスの作り方

http://game.watch.impress.co.jp/docs/news/20111012_483045.html

 デジタル写真からオブジェクトの拡散反射率を得るテクニックや、プロシージャル的なアプローチでモーションを生成したりアニメーションを繋いだりする技術の話など…大変興味深い内容が続き、来場者達の満足度も高かったようです。

 このレベルの技術カンファレンスを無料参加の形で開催してしまうスクエニの懐の深さには少々驚かされましたね。次は任天堂あたりがやってくれないかな~(笑)

 さて、上の動画は、スクエニが、想定される次世代機上での実用化を進めているユニークなディスプレースメントマッピングの技術デモです。

 一般的に知られているディスプレースメントマッピングは3Dモデル上の頂点を法線方向に変移させるだけのものですが、彼らの「ベクトル・ディスプレースメントマッピング」は、3Dモデル上の頂点を、向きと大きさを持ったベクトルで変移させるものになります。なので、LODを換えて適用させると、ブワっと広がったり、あるいはニョキニョキと伸びるようなモーフィング表現が行えます(上の動画)。

 いうなれば「成長するディスプレースメントマッピング」という感じでしょうか。

 なお、当日、発表に用いられたプレゼンテーションや各種動画などは、一部のセッションを除き、公式資料公開ページにアップロードされています。興味のある人は是非、ダウンロードいたしましょう。

 2012年はLuminous Studioのテクニカルデモ、コードネーム「Philosophy」が公開されるかもしれないと言われています。

 となれば、来年のオープンカンファレンスも期待できそうですね。

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