書籍版「3Dゲームファンのためのグラフィックス講座」の内容は?

 度々告知させてもらっているGameWatchでの連載記事「3Dゲームファンのためのグラフィックス講座」の書籍化ですが、表紙デザインにはやはり賛否がありますねぇ(笑)

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 「店頭で買いにくい」という意見もありましたが、編集部としては「人目を惹く」と言うのを最優先したのでしょう。

 さてさて。

 寄せられた質問で多かったのは「内容は?」「Web掲載版と何が違うの?というものでした。

 基本的にはリファイン版という位置づけです。

 Web連載時は、編集コストが掛けられないため、映像素材を見せているだけで、アルゴリズムの説明は文章だけで図解がまったくなかったんですよね。

 書籍版では、プロのイラストレータを起用しまして、これが補われています。

 イラストレーションは、ボクの連載ではお馴染みのデザイナーの岡本圭介氏です

 例えば「鬼武者3」の章で用いられた、「簡易的な影生成手法である丸影
をボーン形状に配置することでリアルに見せる」というオリジナルテクニックを以下のようなイラストで解説しています。

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 一部の図解は、前回本「ゲーム制作者になるための3Dグラフィックス技術」のものを再掲しています。

 アルゴリズムの解説は前回本の方が圧倒的に詳しいので、今回の本でも、ただ「前回本を参照してください」という記述にはせず、前回本の図解を入れてフォローしています。

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 あとは、Web連載版には、各スタジオから提供頂いた画像を掲載させていただいていますが「各素材のどこを見たら何が分かるのか」という根本的な部分が分かりにくかったので、下のように、書籍らしく、見どころをクローズアップしたり、マークしたりしています。

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 逆に書面上の素材をもうちょっと細かく見たいという人は、この書籍側のクローズアップやマークを目安にして、Web版の生素材を参照する…という活用も出来ると思います。

 あと、Web連載版では、Web媒体の良さを活かして、静止画だけでなく、各スタジオから頂いた動画素材を見せていましたが、これも、一部の読者には、どこを見ればいいのか分からなかったようです。

 そこで、今回の書籍では、ページを贅沢に使って、元の動画から見どころをコマで切り取って連続で掲載しています。

3D-II_ch10_3_ページ_07.jpg

 「なにか書き下ろし部分はないの?」という質問もありましたが、そうですね、それほど多くはありませんが、新しい話題や重要な話題を新規ネタとしてコラムで挿入しています。

 下は、新しい大局照明技術「Light Propagation Volume」についての紹介を行っているコラムページです。

3D-II_ch07_3_ページ_23.jpg

 そうそう。

 Web連載時は、インタビュー色というか、臨場感を与える意味合いで、技術者側の台詞文を名前入りで挟み込んでいましたが、書籍版では、これが全て地の文に置き換わっています。

 これは、書籍としての読みやすさに配慮した…というのもあるんですけど、実は、もう一つ隠れた理由があるんですよ。

 それは、役職が変わってしまった人、既にそのスタジオを辞めて退社してしまっている人に配慮する…という意味合いです。

 スタジオによっては「退社した人は記事から省いて欲しい」という要望を出されるところもあるくらいなので、結果、台詞を地の文に書き換えて、あえて"人物色"は省くことにした次第です。 なので、誰がどんな発言をしたのか…については、Web連載版を参照して欲しいと思います。



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オンライン仕事 > GAMEWATCH | comments (8) | trackbacks (0)

Comments

西川善司 | 2013/05/05 03:19
ありがとうございます。

また、がんばって取材して行きます。

それと、いつも取材対応してくれる業界の方々に感謝です!
にゃんころもち | 2013/05/04 21:38
買わせていただきました。
とても勉強になる本です。
これを見て理解して実装できたシェーダが多々あります。
西川善司 | 2010/12/23 02:47
 お買い上げありがとうございます。

 オールカラーはコストに跳ね返り印税率にも響いていますが(一冊売れても最安値の牛丼も食べられませんw)、映像を語る立場である以上はカラーでないとダメだと思い、オールカラーを強く主張しました。

 値段は高めといわれていますが、この判型で発行部数の少ない(笑)技術系書籍で、オールカラー300ページでこの価格は手前味噌ながら頑張った方だとは思います。

 この点はインプレスジャパンの英断に感謝です。
kussy | 2010/12/23 02:31
最近ちょっと情報に疎い生活をしていて、先日偶然この本のことを知って速攻で近所の本屋さんで探したのですが売ってなくて(「ゲーム制作者になるための3Dグラフィックス技術」はありましたが)渋谷まで行って買ってきました。
確かに表紙だけ見るとその手の人とための本と勘違いされそうですw
あと、やっぱりオールカラーはいいですね。
「ゲームエンジン・アーキテクチャ」はモノクロなので、画面写真のキャプションで「グレアが...」って書いてあっても、「どこだよ!」って突っ込みを入れたくなります。
西川善司 | 2010/11/09 03:56
 マーケティング上がりではない、プログラマ上がりの岩田さんならではの説明だったと言えるでしょう。

 それにしても「なぜTEGRAを採用しなかったんですか」という質問もぶつけてほしかったですね。

 ジェンスンは「全て噂だよ」と笑ってましたけど、NVIDIAがコンタクトを取ったことは間違いないようですし。
そら | 2010/11/08 23:06
「とろこで」なんだ?(笑)「ところで」ですね。
質問する方も質問する方ですが、即座に噛み砕いて答える岩田社長は凄いです。
私がなるほどと思ったのは、消費電力もさることながら「安定性能」に着目していたこと。
眼から鱗でした。
西川善司 | 2010/11/06 20:19
任天堂の質疑応答、見ました

これですね

http://www.nintendo.co.jp/ir/library/events/101029qa/03.html

誰が聞いたんだろう(笑)
そら | 2010/11/06 17:12
書店で見かけたら、その衝撃に笑っちゃいそうです。
とろこで、任天堂の10/29経営方針説明会の質疑応答で、3DSのPICA200の選択理由と、固定シェーダを選んだ理由という極めてマニアックな質問が出て、岩田社長、宮本専務、ハード部門の責任者である竹田氏が回答しています。なかなか聞けない話で面白かったです。

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