西川善司の3Dゲームファンのための「METAL GEAR SOLID 4」グラフィックス講座(後編)

 後編ではシェーダ周り、CELLプロセッサに関連した話を書きました。

 CELLプロセッサ周りの話は、CEDECでは時間の都合上でプレゼンではカットされた部分です。

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西川善司の3Dゲームファンのための「METAL GEAR SOLID 4」グラフィックス講座
職人芸的最適化術によって生まれたPS3最高峰グラフィックスの秘密に迫る(後編)

http://game.watch.impress.co.jp/docs/20081204/3dmg4.htm

 MGS4はPS3を大前提で、しかも専用で開発されたこと、比較的開発期間を長期に取れたことで基礎研究からしっかり行っているようで、良くも悪くもギチギチのPS3最適化設計になっていました。
 Xbox360への移植についても洒落で聞いてみましたが、当たり前のように完全にはぐらかされまして(笑)、ただ、話を聞く限りだと、やるとしてもけっこう大変そうですね。

 記事では省略しましたが、取材時にはAIについての話題もありました。
 MGS4の敵キャラのAIは状況判断をして行動する自律行動型AIというよりは、プレイヤーキャラクターへの多彩なレスポンスを返す応答行動型AIとして設計されたとのことです。

 欧米系のFPSではポンとゲーム世界に自律行動型のロボットを放したがりますが、MGS4はどちらかといえば従来のシナリオ駆動型のゲーム進行なので、敵AIは自律行動させてもあまり意味がないという判断です。
 MGS4の敵AIは基本行動自体は決めうちですが、自分を取り巻く環境が変わったときに臨機応変に対処する…あるいはレスポンスを返す…という実装になっているわけです。
 プレイヤーの行動に対していろんなレスポンスを返したり、NPC同士の戦闘もこのシステムで動いているとのことでした。

 シェーダー周りの話では、眼球シェーダがアニメチックな発想で面白いと思いました。


 常にカメラ(視点)に対してハイライトを出すことで"目力"に生命感を出す…というこの眼球シェーダの発想は、実はPIXARアニメのCARSの車達の目玉にも採用されていました。

SIGGRAPHでの発表でPIXARは「眼球に関してはジオメトリや物理での正確性を無視して自然に生きている感じが出せるような実装にした」といっていましたが、MGS4でもまさにそんな感じの理由から思いついた方法なんでしょうね。

 それにしても、MGS4のようなPS3メジャービッグタイトルが、レンダリング解像度を1024×768ドットにとどめ、動かすシェーダをリッチにする方策を選択してくれたおかげで、PS3における変な1920×1080ドットのフルHD偏重主義が緩和されそうでいい傾向だと思います。

 PS3のRSXはシェーダー性能はそこそこ高いので、ファーストパーティの作品群もシェーダーリッチな方向のグラフィックスになればいいなーと個人的には思っています.



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