藤子Fワールドの根幹に切り込んだ最高傑作「ドラえもん のび太の新恐竜」はすごいぞ

「ドラえもんてなんでのび太のところに来たの?」
「ドラえもんってときどき『過去の歴史を変えちゃいけない』
というけど、のび太の未来を変えている自分はなんで見逃されているの?」
この質問に対する答えが今まで見つからなかったし、この質問はドラえもん世界においては「最大のタブー」とされてきた。
しかし、今夏公開のドラえもんの映画ではそれが全て説明されることとなった。
模範解答はこうだ。
「それはね。ドラえもんがのび太のところに来ないと地球上に人類が誕生しないからさ。あと鳥もね」

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今年のドラえもん映画は凄かった。多分、ドラ映画史上最高作だろう。
しかも見る人の年代によって感じ方が違うように作られているのが凄い。若い世代には動物?との友情。
しかし、藤子Fファンにとっては藤子Fユニバースの根幹を説明するエピソードになっているのだ。

さて、「のび太の恐竜」(1980)は、2006年にも「のび太の恐竜2006」(いわゆる新・のび太の恐竜)としてリメイクされていて、今作は「新」の位置が移動して「のび太の"新"恐竜」となったわけだけど、実際、見どころは「新しい恐竜」という意味の「新恐竜」となっているところに秘密がある。

恐竜は鳥の先祖であり、恐竜と鳥を繋ぐ中間的な生き物としては「始祖鳥」という生き物が過去存在したことが広く知られているが、もう少し「恐竜寄り」の中間的な生き物が存在が確認されてもいいはずなのにこの事例が少なすぎるという実態がある。いわゆる「古生物のミッシングリンク」というヤツなのだが、今回のドラ映画はなんとここにスポットをあてている。

でもって、6600万年前、よく知られている定説の隕石事変で恐竜が絶滅して鳥類の先祖となる恐竜が生き残るわけだが、今作のドラ映画はここの秘密にも独特なSF解釈で説明を行っている。

また、現代の古生物学の考え方とは大きく違っているが、今回のドラ映画では鳥類の先祖、つまり恐竜と鳥類を繋ぐ、このミッシングリンクから人間の先祖が進化したという解釈をほのめかしている。
ここが大胆で、鳥類と人類が「なぜ他種族を思いやれるのか」という精神構造を持つことになったのか…これが今回のドラ映画のメインテーマとなっているのだ。

そして、藤子F先生の世界ではおなじみ、タイムパトロール(TP)が今回の映画でも登場するが、今作では、なんと隠れた名作「TPぼん」で頻繁に登場したアイテム「チェックカード」が登場!!!

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人類の歴史に大きな影響を及ぼす人物かどうかを検証できるあのガジェットが登場したのだ。
当然、それを向けられる相手はのび太、その人である。

して、その反応はTP隊員も腰を抜かすほど大きな反応だった。

そう、のび太は実は人類誕生を大きく促した「神」だったのである!! 

どういうことかは映画を見てのお楽しみ。このあたりのシーンは唐突な展開でコアな藤子Fファンでないと何が起きたのか理解できないと思うので、映画未見の人は予備知識として覚えておいてもらいたい。

そして、ここで「ドラえもん」という作品の、これまで残されてきた大きな謎(冒頭で挙げた矛盾)の説明が付くのである。

(1)TPは歴史の改編を許さない

(2)ドラえもんが22世紀からやってきてのび太の人生を変えることは見逃されている

(1)と(2)は大きく矛盾するのだが、今回のドラ映画でこれが間接的に説明されたこととなるのだ。

20世紀ののび太のところに22世紀からドラえもんがやってこないと人類(あと鳥類)が誕生しないのだ。

どこまで考えてこのシナリオを作ったのか分からないが、かなり衝撃的な今回のドラ映画。見ないわけにはいかないですよ。


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Comments

NAT | 2020/12/03 17:41
初めまして、いつも4gamerなどでav関係、ゲームハードウェア関係の分析記事を楽しみにしているものです。のび太にまったく関係ない話ですみません。どうしても質問というかまた記事にして欲しい事があって要望出せるのがここしか無さそうですから。
まずPS5、XSXが発売され最近の海外での話題はTFLOPSで下回るPS5がXSXの同等以上の実行性能を示している?ことです。これについて西川先生の分析を是非聞きたいと思います。

次にPS5のレイトレ―シングに関してですが、スパイダーマンやwatch dogs regionなどを見ると予想以上の綺麗さなのですが、XSX、XSS版と比べて窓に映る水たまりの反射がカットされているようです。つまりRTされているオブジェクトをさらにRTすることがPS5 では今の所出来ていないようなのですが、これはハードウェアレベルRT能力の違いによるものでしょうか?PS5でもいずれそれが出来るようにブラッシュアップされる事はあるのでしょうか?
以上についてまた記事なりでの先生の分析を期待しております。こんなところでの失礼お許しください。

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