西川善司の「試験に出るゲームグラフィックス」(3)映像制作新時代の到来か。ゲームエンジンを映像制作に用いる新発想

 色々あって1年あいてしまいましたが、新連載としてスタートした「西川善司の試験に出るゲームグラフィックス」の第3回はいきなりゲームグラフィックスではないという。

 ただ、ゲームエンジンを使った映像制作というのが業界で大流行しているので、それを取り上げることにしました。

 この分野でかなり先行しているのがフルCG映画「キャプテンハーロック」を製作したことでも有名なマーザ・アニメーションプラネット株式会社です。

 マーザはUnreal Engine4のほか、UNITY5でも映像制作に挑戦しており、今回はその話題をも取り扱っています。


西川善司の「試験に出るゲームグラフィックス」(3)映像制作新時代の到来か。ゲームエンジンを映像制作に用いる新発想
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http://www.4gamer.net/games/210/G021013/20150814057/

 ちなみに、2015年7月より放映が始まったテレビドラマ「デスノート」に登場する悪魔リュークを始めとするCGパートも、Unreal Engine4ベースだったりします。

 こうした商業映像作品にまでUE4の採用が進んできているのは「UE4を用いて映像制作を行い、それで収益を得たとしてもEPIC GAMESにロイヤリティを支払う義務がない」と言うことが明言されたことが大きく影響していると思われます。

 UE4でゲームを作って売るとその販売収益額に応じた成功報酬型のロイヤリティ徴収がありますが、UE4で映像制作で映像を売って収益を得てもそれがないのです。

 これはEPIC GAMESとして、UE4を使えるエンジニアやアーティストを業界に増やし、いわゆるデファクトスタンダードを狙ったビジネスモデルにシフトしたためだと思います。

 もちろん大手とのライセンス契約は従来通り続けているようですが、それ以外の草の根レベルからは「だれもかれもがUE4を好む」という状態のエコシステムを構築してしまおうという戦略なのでしょう。

 UNITYもこの「映像制作への進出」への意識を高めているようなので今後の展開に目が離せません。

 近い将来、「子供向けの毎週のテレビアニメはゲームエンジンベース」なんてことになってるかもしれません。

 下は、上の映像がリアルタイム映像であることを示すために公開された、ランタイムを別視点で実行し、さらに木々の葉々を桜の花に変更したバージョンの動画です。
オンライン仕事 > 4gamer.net | comments (1) | trackbacks (0)

Comments

雨韻 | 2015/08/29 22:15
ちょうどこれに近い話を、昨日初めて見学しに行ったCEDECで、某国産ゲームエンジンの担当者の方としてました。
自分は実写の映像制作に関わっているのですが、リアルタイムのレンダリングやポストエフェクトのクオリティが非常に高いため、プリプロでのシミュレーションやビデオコンテ、映画等のプリビズ用途に十分使えるように感じました。
特に、カメラとレンズのシミュレートが高精度に出来るものは良いと思います。

プリレンダーCGのクオリティが必要の無い場面は割とありますし、最近のリアルタイムCGは少し離れて見ると
プリレンダーと見紛う事もあるので、レスポンスとクオリティのバランスが良いゲームエンジンの用途は広がると感じました。

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