3/2 次世代プレイステーションの話

 次世代プレイステーションの仕様が公開された。くわしくはソニーのニュースリリースニュースサイトの記事をどうぞ。

 ちょっと前に某ゲーム誌で「次世代プレイステーションのハードウェアを予測してくれ」といわれて、勝手に予測したけど「旧プレイステーションとの互換性があるかも」「DVD-ROMドライブ搭載だろう」というのだけ当たった。

 このリリースを読んでちょっと興味深かったのは、CPUにMPEG2デコーダー機能があるっていうところ。

 DVD-ROMドライブが載っているので、DVD-Videoが見られる可能性が高い。音声出力にS/P DIF端子をつけてくるかどうかは微妙なところだが、もし、これが付いてきてしまうと、DVDプレイヤーのデッキにそのまま置き換わる可能性も秘めている。しかも、映像出力が現行プレイステーションのようにアナログRGB出力に対応していたりすると、民生品としては世界初のアナログRGB出力可能なDVDプレイヤーということにもなる。

 これはもしかしたらオーディオ業界に大旋風が巻き起こるかもしれないぞー。

 かつて現行の初代プレイステーションが出てきたとき、プレイステーションはCDプレイヤーとしても使えたが、これはオーディオメーカーは別に脅威とも何とも思わなかった。

 なぜならプレイステーションがどんなに売れようと、「プレイステーションでCDを聴こうとするやつぁいまい」という安心感があったから。

 どんなにプレイステーションが売れようと、オーディオ製品には「CD→MDへのダビング」「ラジオ番組の録音」「携帯して電車の中で聴く」などなどオーディオ製品ならではの利用価値があるので「ミニコンポやCDラジカセの売れ行きには無関係だよね」というのがその「安心感」の根拠。

 調べてみたわけじゃないので具体的な数値は分からないが、実際、現行プレイステーションの累積出荷台数と、CD/MDラジカセや携帯オーディオ全体の累積出荷台を比較したとしても、後者の方が圧倒的に多いに違いない。

 が、以上の図式はDVDプレイヤーに関しては成り立たない可能性がある。

 というのはDVD-Videoは

・あらゆるメディアへのダビングが(表向きは)不可能になっている。デジタルベース、アナログベース両面からのプロテクト機構により基本的に複製は行えない。

・現在のVHSデッキ並の価格で、録画録音できるDVDオーディオシステムの登場はまだ先の話。

・DVDをあまり屋外で見たがるヤツはいない。基本的に据え置き型のものになる。携帯できるDVDプレイヤーを持ちたがるのは飛行機の中で外人に話しかけられて「YES、YES」としかいわない変な親父くらいなもの。

といった特性があり、もし、次世代プレイステーションでDVD-Videoが見れてしまうと、市販されているDVDプレイヤーと機能が変わらないことになってしまうのだ。次世代プレイステーションはおそらく、3万円前後(あるいはそれ以下?)の値段で出してくるはずなので、そうなると、これは一番安価なDVDプレイヤーともろにかち合うことになる。

 たぶん、オーディオメーカーは、(オーディオマニアではない)普通の人に「DVDしか再生できない当社のDVDプレイヤーと、ゲームもできてDVDも見られるソニーの新プレイステーション、どっち買います?」という問いかけをぶつけるのが非常に怖いはずだ。

 ソニー自身もDVDプレイヤーは作っているので、事業部間の確執なんかもあったりして、もしかしたらDVDプレイヤーとして完璧なポテンシャルを持ちながらも、DVD-Videoは再生できないようにしてくるかもしれないなぁ。

 一方、DVDソフト業界はきっと次世代プレイステーションがDVDプレイヤーとして使えちゃうのは大賛成だろう。最近TSUTAYAなんかでDVDのソフトレンタルが開始されたようだけれど、もし次世代プレイステーションでDVD-Videoが再生できれば、一気にレンタル業界にDVD移行熱が発生するかもしれない。きっとソフトタイトルも増加するだろう。

 ちなみに、上のニュースリリースでは「映像用DVDで広く用いられているMPEG2を採用」「AC−3やDTSといった最新のデジタル立体音響の処理も、拡張されたマルチメディア命令でリアルタイムに実行する事が可能」みたいな表現が出ているので、現時点では「再生できる」見込みの方が強い感じはするけれど、キーワードがそろっていながら「DVD-Videoの再生に対応します」とは一言もかかれていない。はたして…!?

3月3日 HDDクラッシュの話

 MIDI音源の演奏を録音をする必要があって私の愛機Sharp X68030を久々に起動した。「今更X68でMIDI?」といわれそうだが、Windows95/98環境では演奏テンポ精度が悪く、高度なMIDI演奏はWindows95/98には任せられないのだ(私は)。

 X680x0上のMIDIシステムは自作プログラムで構築してあるため、トラブルが起こったときに対処しやすいから…というのも大きな理由の1つだが。

 とにかく、システムを起動後、いくつかのファイルを読み書きしているうちに読み込みはともかく、書き込み動作がやけに遅いことに気づく。

 「?」と思いつつ、書き込んだファイルを再度読み込んでみるとファイルサイズがゼロになっている。

 ヤ・ラ・レ・タ!

 HDDクラッシュだ!

 HDDのような可動部分の多い機械的なデバイスは、ずっとほったらかしにしているとそういった機械部分が時間とともになまってしまい、ある日突然動かしたときに突然おかしくなる…という故障パターンが多いのだ。そういえばX680x0はここのところ3ヶ月くらい起動していなかったかも…。あーあ。

 ただ、読み込みは普通に行えるようなので、そのHDDの内容をPDに「だめもと」でバックアップ。バックアップしたPDからファイルを読み出して確認してみると、書き込んで壊れたファイル以外は全部無事に退避できているようだった。ほっ。

 壊れたHDDはCaravelle「AV1000HG」というやつで1GBの容量のSCSI接続外付けタイプ。これをシステム領域とデータ領域の2つのパーティションに分けて使っていた。今バックアップしたのはシステム領域。ここにはOSやシステムプログラムの他、自作プログラムのソースリストなどがたくさん入っていたので、これが失われたとしたら最終話の矢吹ジョー状態だった。ふぅ。とにかくこちらはほとんどが助かったことになる。

 データ領域のパーティションには、これまでに書いた原稿や、大学時代の卒業論文や修業論文、音楽制作用の音ネタなどが入っていて、こちらは今日はまだ読み書きしていないので無害のはず。こちらも大事なデータばかりなので、失ってしまったら宇宙の愛のために超巨大戦艦に突っ込んで自爆したくなってしまったかもしれない。

 さて、システム領域のバックアップが終わったところで、こんなアイディアが浮かんだ。「壊れたシステム領域も、一度領域解放してから領域確保すれば、もしかしたら復活するかもしれない。」

 …やってみたが、うまくいかない。パーティションの領域解放はできたが確保ができないのだ。

 「おかしいなぁ」と思いつつ、HDDの構成情報を見てみると「容量不明」のSCSIデバイスとしてしか認識されていない。データ領域のパーティションもなくなっている。

 顔が青ざめる。

 領域解放(領域確保時もそうだが)時にはHDDのパーティション管理テーブルへの書き込み行われる。このHDDの書き込み動作がまるっきり腐っているのだとすれば領域解放を行ったときにその管理テーブルの書き込みに失敗するわけで、それはつまりパーティション情報全体が破壊されることに他ならない。

 ガーン。

 今更気づいても後の祭り。

 データ領域として使っていたパーティションは、システム領域の領域解放動作の瞬間に消し飛んでしまったわけだ。

 ああ、タイムマシンがあるならば、3分前の自分に「領域解放はしちゃダメだよ。その前にバックアップ取りなよ」と教えにいきたい…。

 すっかり落ち込んだ私の目の前には、ラッパを携えた天使達が舞い降りてきていたので、

「やっぱりHDDだめだったよ」

と言い残して彼らに捕まって天へ上っていくことにした。アーメン。

(現在も落ち込み中)

3月5日 IDE RAIDの話

 二日経っても未だに目の前に天使が飛んでおり(日々是好日日記第48回を参照)、すっかりHDD破損恐怖症になってしまった私は、原稿書きマシンとして使っているWindows NTマシンも「使っているうちにデータが消失してしまうんではないか」という恐怖心にさいなまれていた。そう、そのために最近は原稿の提出が遅れ気味だったのだ(ほんとだったてば)。

 このWindows NTマシンには12GBの容量を持つQuantum BigfootTX12.0ATが入れてあり、これが破損したらそれこそ天から降りてくる天使も12倍になろうというものだ。

 そこで、思い切ってRAID1(ミラーリング)のシステムを導入することにした。ただしSCSIベースでRAIDをやるとインターフェースだけでも7、8万円はしてしまうので、今、自作PCマニアの間で話題沸騰中の安価なIDEベースのRAIDを組むことにした。

 選択したIDE RAIDカードは、DOS/Vパラダイスが正規代理店として販売しているPROMISE製のご存じ「FastTrak」を選択(16,800円(税別)で購入)。

ftrak300.gif (27630 バイト)
FastTrakはRAID0,1の他に,独自のスパンニングと呼ぶモードも持っている。これは容量の異なる2台のHDDを1台のHDDとして使うことが出来るモードだ。なおストライピングのような2つのHDDへの並列書き込みは行わず,1台目のHDDを使い切ると2台目を使い出すような仕組みになっている。ちょうどウイニングランから販売されている「BigDisk」をハードウェア的に実現するものと考えればいい。

 PROMISEはホストアダプタ関係のカードベンダーとしてはアキハバラー達の間でにわかに人気上昇中のメーカーだ。なかでも,いち早くUltraATA/66に対応したIDE I/Fカード「Ultra66」はMicronやGATEWAYのマシンの一部モデルに標準搭載されるなどして各方面から注目を集めている。

 今回私が買ってきたこの「FastTrak」はIDEベースのRAIDカードなので安価なIDEのHDDを用いてRAID構築できるのは既に述べたとおり。さらに特徴的なのはUltraATA33/DMA33にも対応している点で,古いマシンで最新のUltraATAタイプの大容量HDDを接続したい場合のインターフェースカードとしても使うことが出来るのだ。

 さて,RAID1を構築する際には同容量の同型番のHDDが望ましいのだが,BigfootTXシリーズは欠番となってしまったので今や入手は不可。そこで同メーカーの同容量のものならばまあいいだろうということで、Quantum Fireball EX12.7Aを選んだ。

 まずセットアップ時につまづいたのがIRQの競合。FastTrakはPCIスロット接続のカードなのだが,他の拡張カード類とのIRQの競合を許していないのだ。また,PCI-PCIブリッジにぶら下がったスレーブPCIスロットへの接続も許されていない。このあたりはPC/AT互換機初心者には難しいところかも。AGPスロットのすぐ下や最下段のISA/PCI兼用スロットがそうしたスレーブである可能性が強いので,まぁよくわからなければそうしたスロットを避けて接続すればいいはず。

 接続して最初にPCを起動するとFastTrakが「RAIDタイプを指定してくれ」と聞いてくるのでここでRAID1(ミラーリング)を選択してやる。ちなみに12GBのHDDが2基内蔵されているので合計容量は24GB近いわけだが,RAID1時の総容量は少ない方に合わされるのでBigFootTXの12.0GBがこのシステムの総容量となっている。またFireballの方の0.7GB部が未使用となり無駄になってしまうわけだが,まあこれは仕方がない。

 2つのHDDのシンクロ作業には数時間を要したが,とにかくRAID1の構築を完了した。WindowsNTも無事起動。

 さて,突然だが,ここで私はこのWindowsNTマシンにはServicePack4(以下SP4)を入れていなかったことを思い出す。SP4を入れると,その直後のシステム起動に失敗することがあるという怖い噂を聞いたことがあるので,ずっとインストールを躊躇していたのだ。しかしなんとなくそのときは「そろそろ入れてもいいかなー」という根拠なしの気まぐれを起こしてしまったのである。

 思い切ってSP4を入れて再起動をかけたところ,ものの見事に起動不能状態に陥ってしまった。

 ズゴーン。「悪い噂の生き証人」という不名誉を頂いてしまったのである。

 OSローダーのエラーメッセージを見る限り,カーネル部分のロードに失敗している模様。修復ディスクや上書きインストールによる復旧もダメ。絶望的だ。

 SP4インストール前に,ミラーリングしている片方のHDDをFastTrakから外しておけば,おかしくなるHDDは片方だけで済んだはずなのだが,そういう気の利いたことはしていなかったので,2つのHDDの中のカーネルが仲良くSP4により破壊されてしまったのであった。

 また,天使達が天から舞い降りてくるのが見え始めたが,これを振り払い,WindowsNTの再インストールに挑戦することにした。HDDの内容が破壊されたわけではないので,前回のデータ完全消失事件よりはダメージは大分少ない。「たまには再インストールも刺激があっていいもんよー」と,この事態を無理矢理前向きに捉えることにした。

 ところが,またまたトラブル発生。インストール時にFastTrakをSCSIホストアダプタとしてドライバをインストールすれば,FastTrakに接続されたHDDにもWindowsNTをインストール可能…ということがマニュアルに書いてあったのだが,日本語版WindowsNT4.0Workstationではうまくいかないのだ。

 結局,FastTrakを一度外して,マザーボードのIDEインターフェースに1台のHDDを接続,これにWindowsNTを再インストールし,完全にシステムが復活してからRAID1を再構築する…という超面倒なアプローチをとった。なお,SP4はHDDをFastTrakに繋ぎ変える前にインストールしたら大丈夫だった。

 現在はこのRAID1付きWindowNTマシンは大きなトラブルもなく動作している。

 導入時にいろいろと面倒なことになるかもしれないが,FastTrakの機能自体はかなり魅力的なものだ。「トラブルが自分で解決できるユーザー」でRAIDに興味がある人は試してみてはいかが?


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