11/1 メールサーバー復活の話

 メールサーバーが復旧した。

 マシンはPC9821からDOS/Vパソコンになった。

 PC9821用のWindowsNTのNTFSのハードディスクってDOS/Vからはまったく読めないんだな。いやー、まいったまいった。それどころかPC9821向けのIPLが書きこまれているらしく、FDISKしてもフォーマットしてもDOS/Vパソコンからは起動用HDDとして設定できなかった。結局、BIOSのLOW LEVEL FORMATのお世話になることに。

11/2 LCD/PDP International '98の話

 10月28日〜30日に幕張で開催された「LCD/PDP International '98」というディスプレイパネルのショーに行ってきた。念のためにいっておくとLCDは液晶ディスプレイパネル、PDPはプラズマディスプレイパネルのことである。

 このショーはマスコミや一般ユーザー向けではなく、どちらかといえば「メーカー同士の商談の場」という感じのショーなので華やかさはない。しかし、まだ製品に採用される前の最新パーツが見られるという利点があったりする。

S_R0100001.JPG (16137 バイト) まず、訪れたのはSAMUNGブース。写真は30インチ、21.3インチサイズのTFT液晶ディスプレイの試作機。1600x1200(UXGA)の解像度を持つ。99年中に実際の製品としてでてくる模様。画質はなかなかのものだった。最初につく値段は「なかなか」どころかきっと「ベラボー」だろう。しかし、30インチで、この薄さ…値段が、もしも、50万円前後くらいになったとしたらPDPの立場はないかもしれない。次世代壁掛けテレビの座はLCD、PDPどちらに輝くのか!?

 

 

 

 

 

 

S_R0100030.JPG (15431 バイト) 当日、最も人だかりのしていたブースがIBMブース。まだ実験試作段階のTFT液晶パネル。人だかりの理由はその圧倒的な解像度から。展示されていたパネルはQSXGA(2560x2048)、QXGA(2048x1536)という冗談みたいな解像度の二枚で、サイズ的には17インチ前後。現在は医学機器用途に向けて製品開発をしているとのことだが、たしかに、ここまで解像度が高いと、一般PC製品では対応できるビデオカードもないかもしれない。Voodoo3ではQXGAはサポートされるらしいがQSXGAはさすがに…。

 説明担当者の話では、現在表示用に使用しているフレームバッファは実験的なポード(ビデオメモリは128MB〜192MBくらい?)で、液晶ディスプレイパネルとの接続インターフェースも独自とのことだった。たしかにここまで解像度が高くなると、通常のアナログRGBの伝送方式では賄いきれないだろう。聞いてみると、バスに近いプロセスでビデオデータをパネルに送っているとのこと。

 ちなみに写真の左右のディスプレイは実は一台のPCから出力されている映像だ。それもWindows98のデュアルスクリーン機能ではなく、1枚のフレームバッファ(ビデオカード)から出力されている画像だそうだ。フレームバッファから伝送するデータにIDが付けられていて、パネル側では自分のIDに合致した映像信号を表示するというようなシステムになっているらしい。これによりディスプレイをSCSI機器のように数珠繋ぎできるということだ。

 さて、画質のほうだが、たしかに高い。色の再現性とかは普通だと思うがとにかク解像度がたかい。写真左のディスプレイには地図が表示されていたが、国道から伸びている線幅1mm程度の枝道までちゃんと2本線(=)で描かれているのが視認できるほど。これでフル画面サイズのマインスイーパーとかやったら4年は楽しめるんじゃないか。

1500p_b.gif (16301 バイト)S_R0100007.JPG (14328 バイト) APTiのブース。今年でた唯一のTrue SXGA(1280x1024)対応のプロジェクタ「AP-1500SX」。反射型液晶方式のプロジェクタでこの解像度で1500ANSIルーメンの輝度を持つ。

 APTiのブースではこのプロジェクタのエンジン部分を展示していた。右写真の右側に見えるのが、そのコアともいうべき1インチサイズ前後の1280x1024ドットの解像度を持つ反射型液晶パネル。こんなちっちゃな液晶パネルで1280x1024の解像度を持つっていうんだからつくづくこの業界のテクノロジーの高さには驚くね。

 

 

 

 

 

S_R0100011.JPG (20372 バイト)S_R0100012.jpg (21817 バイト)S_R0100013.JPG (13116 バイト)

 カシオブース。HAST(Hyper Amorphous Silicon TFT)液晶パネルのラインナップを展示。HAST液晶はデジカメやビデオカメラの液晶パネルのシェアではトップをいく液晶パネル製品。

 具体的には画素周辺の駆動回路のピッチを小さくすることによって開口率を稼ぐ方式。開口率を上げるというアプローチでは最近はやりの低温ポリシリコンTFT液晶パネルと同じだが、通常の液晶パネルとほぼ同じ生産方式で作れるためにHASTの方が安くできる。ノートPCでも採用例があり、たとえばカシオのA5ミニノート「FIVA」はこのパネルを採用している。原理的にはTFTなので画質は高いはずなのだが、どうも原色表示時にざらつき感が伴う感じがして私は好きになれない…。

S_R0100015.JPG (22454 バイト)S_R0100016.JPG (15009 バイト) シャープブースでは高輝度タイプの反射型液晶を使ったノートPCの試作機を展示。注目度は高かった。現行では11.3インチで800x600という解像度が最高というのがちょっと不満だが、すぐに高解像度タイプも出て来るだろう。

 展示コーナーでは非常に明るい蛍光等が上から照っており、その下でもパネルが見える…ということをアピール。実際に見てみると…なるほど文字の視認性は高い。実用レベル。ただし、カラー画像の色の再現性はいまひとつ。暗いところで撮影した写真のように澱んでしまう傾向がある。まぁこれは仕方ないのかな。

 写真右はシャープ新開発の「プラズマアドレス液晶」ディスプレイパネル。「プラズマなのか液晶なのかどっちなのよ」という疑問はごもっとも。

 説明によれば、液晶の駆動をプラズマで行うもの…とのことだった。画自体は液晶の画ということになり、光っているドットは隔壁の中の蛍光体とかそういうものではなく、単純にバックライトの光ということになる。「これって普通のLCDやPDPに対してなんのメリットがあるんですか?」と質問したところ、技術肌の人らしく正直に「今のところ具体的にすごいアドバンテージがあるものじゃないんですよね。」と答えてくれた。結局、「低消費電力!」と題字がそえられてはいるが実際にはPDPよりは小さいがLCDよりは大きいらしい。

 実際に商品となってきた時に売れるか売れないかは、発売時期と価格で決まるって感じかな。40インチオーバーの液晶パネルがでてくる可能性はあるし、PDPも安くなる傾向にあるし。

S_R0100018.JPG (18661 バイト)S_R0100020.JPG (16526 バイト)S_R0100042.JPG (18247 バイト)

 プラズマディスプレイも50インチオーバーの時代に各社足並み揃えて突入する。製品価格になるとやはり100〜150万円でインチ単価はベラボーだが、現実的な設置面積で50インチオーバーのディスプレイを選択するとしたらPDPしかないのも事実。解像度的にはこれまで40インチサイズでも640x480〜780x512あたりが多かったのだが、上記のものは両方とも100万画素クラスのもの(左の写真がNEC、あと二つがパナソニックのもの)。16:9という縦横比の関係から1365x768というSXGA(1280x1024)とXGA(1024x768)の中間的な解像度になっている。コントラストが高いので「パッと見」はとても鮮烈的。動画のキレもいい。しかし、近づいてみるとドットピッチが粗い…というか画素と画素の間の隙間の大きさが気になる。離れて見るテレビの代わりにはいいかもしれないが、近づいて見るパソコン用モニタとしてはまだ改善の余地アリかも。

 写真にはないが、富士通が1280x1024解像度のパソコン用PDPを展示していたが、やはりドットの隙間が気になった。これじゃドット画とか描くような仕事の人は使えなさそう?。

 あと、気になったのはドット落ち。TFT液晶パネルと同様、画素はそれぞれが独立して駆動(発光)されるので、工場出荷状態で死亡しているドットはニ度と蘇ることはない。今回ショーで見た製品にもポチポチとドット落ちがあった。やはり、今の製造技術ではドット隔壁に隙間や穴が出てしまうことがあるらしく、隣りの画素の紫外線に反応して光ってしまう画素とかが出てきてしまうらしい。画素落ちは動画ではあまり気にならないが静止画には見栄えにとって致命的な痛手となる。PDPはやはリ次世代テレビであって次世代PC用ディスプレイにはなりえないのかなぁ。

 写真右はパナソニックの200万画素42インチPDP。HDTVにフル対応する1920x1080というクラス最高の解像度。たしかに高精細で美しかった。

S_R0100027.JPG (19589 バイト) TEXAS INSTRUMENTS(TI)/丸文株式会社のブース。次世代プロジェクタ方式といわれているDLP方式のプロジェクタとそのエンジン部を公開していた(写真左)。横に虫眼鏡が備え付けられていて、極小パネルに映った投影前の映像が実際に見られるようになっていた。これは感動もの。

dmd_2.JPG (13056 バイト) DLP(Digital Light Processing)方式とは、L.J.ホーンベック博士が考案したフルデジタルプロセスの映像素子。SF漫画で最近もてはやされがちなナノマシン技術を応用したものといわれている。画素サイズの極小の鏡を半導体に持たせ、この半導体に書き込まれた値に応じて鏡の向きを換える素子がDMD(Digital Mirror Device)だ(右写真)。これを使ったディスプレイ装置がDLP方式といわれる。たとえば1024x768の解像度のDMD素子は1024x768個の小さな鏡を持ったロボットが立ち並んでいるといえなくもない。

 

 

 

S_dmd_1.JPG (17402 バイト) たとえば光るドットは、鏡を出力側へ反射するように傾けることになる。真っ暗なドットは、出力側へ行かないような方向に鏡を向ければいい。その中間の明るさ/暗さのドットはそれぞれの中間の方向に鏡を向ければいい。これでグレースケールが表現できることになるわけで、カラー化はなんのことはない。RGBの光毎に、この処理をしてやってプリズム合成すればいいだけだ。たとえば鏡を256段階に傾けられれば256段階のグレースケールになる。これをRGB3個分のDMDを用意して実行し、それぞれの映像を最終的に合成して出力してやれば1677万色が表現できる。

 この方式のすごいところは、液晶ディスプレイと同じで、原理上ビデオメモリに書かれている画素情報をそのまま映像として出力できるところにある。これが「フルデジタル」といわれる所以だ。ビデオメモリ上に書かれているRGBの各輝度数値をそのまま対応するDMDに書きこんでやれば、その輝度に応じた反射を鏡を傾けて作ってくれるからだ。

 液晶よりも優れている点としてはドット境界がほとんどないということだ。液晶はドライバ回路がドット周辺にあるのと、RGBと三色で区分けされたカラーフィルタによってカラー画素を表現するので「うろこ」のようなドット境界が目立つ映像になりやすいが、DMDでは敷き詰められた四角い鏡がそのまま画素として見えるのでこれがない。

 そして、液晶プロジェクタは液晶パネルに光を透過させるプロセスが必要だが、DMDは光を反射するのでこれが不要となる。光を透過させる方式では、どうしても光がパネルに吸収されてしまい映像輝度、コントラストが低下するのだが、DMDはこの心配がないのだ。

 (余談だがそういう意味では画素に鏡が敷かれた反射型液晶というのはLCDとDMDの中間的な存在といえるかもしれない。)

 

S_dmd_4.JPG (14164 バイト) ブース内でまずは1チップDLP方式によるプロジェクタの映像を見る。機種はAPTiのLP425だったが、やっぱり映像にチラツキが見えた。

 通常、プロジェクタというのは映像パネルをRGB分三枚使って構成するのが普通だ。ところが、まだDMD素子は価格が高いので、3つ使ってしまうとSVGA(800x600)解像度の製品でも200万円以上になってしまう。これでは値が急降下している液晶プロジェクタと競争できない…ということで1個のDMDチップでプロジェクタを構成したのが1チップDLP方式のプロジェクタだ。この方式は、毎秒60フレームのカラー映像を表示するためにその三倍で周期で回転するロータリーフィルターを用い、RGBの映像を時分割で表示する。

 つまり、1/180秒単位ではRGB(赤、緑、青)の単色の映像しか画面に投影していないことになる。実際のRGBの映像合成は人間側の脳みそで行っているということになり、ディスプレイ装置としてはこれはかなり大胆な発想といえる。この、人間の生理に依存する部分があるために、人によって映像のちらつきが見えたりするのだと思う。いずれにせよ、ちょっと1チップDLP方式の製品は遠慮したい感じ。

 ちなみに補色フィルタを使った2チップDLP方式も原理上可能とTIはいっているが実際に製品はないみたい。

S_R0100029.JPG (15610 バイト) 現在のところ市場にあるのは1チップDLP方式、3チップDLP方式で、いずれも800x600(SVGA)解像度のものばかり。「いくら原理がすごくても1024x768(XGA)解像度全盛の液晶プロジェクタと勝負にならんぞー」と危惧されていたわけだが、ショー当日は「本邦初」と銘打ち、完全に本体を隠す形で3チップDLP方式のリアルXGA対応の映像をブース内の暗室で投影していた。遠目でしか映像が見られなかったので評価は差し控えるが、かなりよさそうではある。なお、その隠された製品はメーカー名すら伏せられていたが、NECかイギリスのDigital Projection社のもののようだ。

 右の写真はブース内のガラスケースに展示されていたDMD素子。どうやらもうすでにSXGA対応タイプも開発に成功している模様。SXGA対応DMD素子を使った製品にお目にかかれる日もそう遠くはないのかも。

 

 

 

 

S_R0100033.JPG (18567 バイト)S_R0100034.JPG (20180 バイト)

 3Mのブースではディスプレイパネルに張りつける各種光学フィルたをディスプレイしていた。写真は正面から見ると見えるけど横からは見えなくなるというフィルタ。電車やオフィスなどでパソコンを使っているときなど、画面を盗み見されないようにするために使うと便利…らしい。D-STNパネル採用の安いノートPCならばそんな機能、標準装備じゃん…わははは。

dbef1.JPG (21158 バイト)dbef2.JPG (21550 バイト)

 3MではBEF(Brightness Enhane Film)と呼ばれる液晶パネルの輝度アップを行う光学フィルムも開発しており、これのデモンストレーションも行っていた。BEFはユーザーが付けるものではなく、ノートPC(あるいは液晶パネル)のメーカーが出荷時に組みこむもの。光の位相をプリズムによって整え光量を倍にするシステム。バックライトからの光をダイレクトに通すよりも125%〜170%の輝度アップが図れるという。説明担当者の話では現在のノートPCの半数以上が3MのBEFを採用しています、といっていた。

S_R0100035.JPG (11500 バイト)S_R0100037.JPG (14251 バイト) 応用製品のコーナー。

 写真左が御存知ゲームボーイ。反射型カラー液晶の応用製品として展示されていた。「見本市」的なLCD/PDPショーだけにゲーム小僧はいなかったが、なぜかバッテリー切れになっているマシンもあった。ところでゲームボーイカラーってバックライトないの? 暗いところでは遊べないのかな? 

 写真右はPDP製品の応用例。メーカーはリコーのようだ。PDPにタッチパネル機構を組み合わせたもので、画面上のキーボードに触れるとその音が鳴るというアプリケーションを展示していた。

 

 

 

 

 


戻る