7/1 Windows World Expo'97の話

 私は6/27に行ってきた。前年に比べると盛り上がりに欠ける...と開催前はウワサにされたが、そうでもなく、どこもそこそこに混んでいた。会場はおなじみ幕張メッセ。COMDEX JAPANのときもここだったが、今回のWinExpoではあのときの2,3倍の広さを使っていた。それでこの人出ならばすくなくともCOMDEX JAPANよりも「盛り上がっ」てんじゃないの?

 会場に入るなり笑っちゃうほど人だかりしているのがT-ZONEとTWO-TOPのブース。両店ともWinExpo特別価格と称して秋葉原の店頭価格よりも安い値段でPCパーツ、ソフトを販売していた。実際に細かく見ていったのだがたしかに安い。あまりにも安い。たとえばAMD K6が35,800円、EDO SIMM 32MBが11,900円、UltraDMAのQuantam FB2.1GBが22,800円。当日同行した友人が自作PCを組みたいといっていたので、ここで買わせてしまった。組み立ては私が担当する予定なのでテスト結果はいずれのちほど。

  ちなみにこの2店はExpo始まってから終わるまで熾烈な価格競争を行ったとのこと。たしかに、店頭で呼び込みをやっている店員達の声は、お客さん達よりも向かいの店に向かってたもんなぁ。

 

 

 

 

 どのブースでもくじ引きで自社製品が当たる...みたいなイベントを展開していた。アンケートに答えればくじが一回引けるというルールを採用しているところがほとんどだったが、高級品なんかはまったく当たらず、くだらねえ自社ロゴマークのシールかなんかを流れ作業的に渡しているブースがほとんどだった。うーん、町中じゃみんなアンケート野郎なんか無視するのに、こういうところにくると結構軽く受け答えてしまうみたい。いやー怪しい会社にはほんと気をつけてくださいね。

 私が見た感じちょー怪しかったのがここ。人材派遣会社だかなんだかしらんがアンケートに答えさせておいてくじを一回引かせてくれるようなことをやっていた。当たるとタマゴッチだかなんだかが当たるらしい(なんか女子高生を売春に誘う変態おやじみたいだ)。当然くじはほとんど外れ。外れるとここの会社のPRチラシかなんかを渡しているようだった。チラシ...そんなもんいらねぇ!! という顔でみんなここのブースを後にしていたが、後の祭り、数日後きっとここを含む数社からDMがチミのもとへ届くでしょう。わはは。私はアンケートに答えて列に並んだものの自分の番になる直前になってここの怪しさに気づきアンケートを破り捨て列から離れた。だってもう、「外れ」チラシ配り担当のスタッフが、お客がルーレット回す前から渡そうとしているんだもの。うひゃひゃ。

 

 

 COMDEXではワクチンソフト系ソフトハウスが看護婦さんコスプレで、異常な人気ぶりを博していた。今回のWinExpoでもワクチンソフト系のブースで看護婦さんを見かけたものの前回ほどの盛り上がりはなかった。だからどうしたといわれても困るが。

 で、ちょっとだけ目立っていたのがここ。真っ赤な社立てて巫女さんのカッコした説明員がなんかしゃべっていたが、みんな気味悪がって近づこうとしていなかったな。

 やっぱ巫女さんが一人っていうのがインパクト度としては足りなかったのかね。だけど巫女さんがぞろぞろブース周りを徘徊してたら逆に恐いけど。

 

 

 

 CyrixのMediaGXを採用したPC。PURPOSE/高木産業とかいうメーカーの製品で「ネットPC」という名前で売りに出すそうだが、マイクロソフトが提唱するNPCとはまったく関係ないとのことだった。ってそれってMSから文句つけられないのかな。

 このMediaGX採用パソコン、本体のみで10万円前後とのこと。パフォーマンス的にはPentium133MHzのDOS/Vパソコンと同等の性能をもっているとのことだが..。現在.K5-PR133搭載のショップブランドPCも大体そのくらい。この「ネットPC」の10万円というのははたして安いといえるのか?

 アフターサポートもついてこの値段ならば法人ユーザーにとってはまあまあだとは思うが。

 

 

 

 

 TAXANのブース。巨大ルーレットマシーンでメモリが当たるイベントをやっていた。このルーレットが面白いのか、みんなメモリが欲しくてしょうがないのか、当日くじ引きイベントをやっていたブースの中では一番長蛇の列ができていた。

 

 

 

 

 

 

 

 IBMのブースにて。今回のWinExpoでは被り物はあんまりいなかった。

 写真は当日みつけた数少ない被り物キャラ、IBMのCAIのイメージキャラクタ、ねこのカルロ君。

 ちなみに、このカルロ君、カメラを向けたらごらんの通りポーズを取ってくれた。

 ショーの性質上のこともあるし、そしてブースもIBMだしってことで、ブース内には子供はほとんどいなくておっさんばっかり。そんなところにもってきて彼は結構図体もでかく人通りの邪魔になるのでみんなから邪魔物扱いにされていたのだが、顔はいつまでも笑ったまま。実に性格のいいやつだ。

 

 

 

 

 東芝ブース。話題のホームPC「Vision Connect」と「Libretto60」の2つをメインにブースを展開。

 Vision Connectは同社のブレッツァともろ競合すると思うのだが、東芝は結構本気みたい。自社開発のDSPボードMpactでも入れてたら面白いのに、と思っていたのだが入ってなかった。ワイヤレスキーボードとかUSBコネクタを本体パネル前面に持ってきているのがちょっとユニーク。カタログではUSBポートにゲームパッドつないでゲームしている写真が載っているが、ほんとにそのパッド発売されるんだろうな!! だけど、今更CPUがクラシックPentium133MHzっていうのがどうもいただけない。ぶー。

 リブレット60のブロックはものすごい派手なデモンストレーションを展開しており他のブースを圧倒していた。女性モデルがリブレット60を使っている写真を巨大なパネルで展示、その下で説明員が大声でリブレットのウリを叫んでいた。WinExpo97はWindowsCEのExpoなどといわれたが、すくなくとも東芝ブースは別次元。どうせいずれCE機種も出すんだろうが今は売れに売れているリブレットをいかに売り切るかって事に専念している様子。

 リブレット60の解説をする男が企業イメージとは違った怪しさを持っていてよかった。

解説男「はい、みなさん、リブレット60のディスプレイ、これTFT。みなさんTFTって何の略だか知ってる?」

群衆「しーん」

解説男「なんと。ご存じない!? ではお教えしましょう。とってもすごくきれいに鮮明に映るので、とっても(T)ファンタスティック'(F)な東芝(T)の技術っていう意味なんですよ。」

 私は「東芝よ(T)、ふざけたこと(F)いって(T)んじゃねぇ」の略かと思ったよ。

 Kai's Power Gooで有名なメディアビジョンから発売されたフォトレタッチソフト「フォトソープ」。

 みんな気づくとは思うけどどうもネーミングは「フォトショップ」のパロディらしい。ふざけた名前の割にはまともみたいだった。値段も当然安い。

 パッケージが「ソープ」という名前のため洗濯洗剤のような感じになっているのが面白いね。

 

 

 

 

 

 松下ブース。まさにレッツノート一色ってかんじ。サブノートタイプ(AL-N2)はすでに使ったことがあったが、ACE(AL-N3)のほうは初めて現物を見るのでかなり興味をもってブースに立ち寄った。

 ACEはAL-N2のコアをそのままに12.1"TFT液晶、CDROMドライブ内蔵した軽量薄型A4ノートPC。すでに仕様は発表になっていたので大体知っていたが、私が以前松下の人と会ったときにはまだACEは実機ができておらずモックアップだけだった。もしかしたら実機ではあの時と仕様が異なっていたりして!?...などと淡い期待感を胸に秘め説明員の男に話を聞いてみた。

私「すみません。ACEの液晶パネルは12.1"TFTみたいですけど解像度はAL-N2とおなじ800x600なんですか?」

松下「違いますよ。1024x768、いわゆるXGAです。」

ええ!!じゃあやっぱり土壇場で仕様変更したのか。

私「本当ですか。仮想画面でなくて?」

松下「本当ですとも。もちろん仮想画面モードもできますけど」

しかし実機の画面を見る限りでは800x600だ。

私「これって800x600の画面しか出ていませんけど。」

松下「そんなことはないはずですが」

画面のプロパティを見ると800x600/65536色モードに設定されている。おもむろに1024x768にすると色数が256色に減り、このまま[OK]を押したら1024x768/256色モードの仮想画面モードになってしまった。

私「これって1024x768/256色の仮想画面じゃないですか? XGAのモデルも出るっていうことですか?」

私はこの時点でもXGAモデルがあると信じていたのでそのままこの説明員に質問を浴びせたのだが

松下「ああ。1024x768モードは仮想画面ですね。やっぱり。」

ガーン。どうもこの説明員もかなり驚いていた様子で、どうやらWinExpo開催初日から私が出かけた3日目まで、訪れたお客に対してうそを言いつづけていたみたい。しっかりしてくれー。

 とこのACE、横を見るとTYPEIIカードスロットが2つ横に並んでいるではないか。ACEはTYPEIIIカードはささらないってことみたい。うんんんん。なんで大きくて値段も高い上位機種が下位機種よりも拡張性が低いのだ? 説明員は「薄さ追求のためこうなりました」...といっていたが。これでいいのかLET'S NOTE ACE!?

 ソニーブース。ソニーのパソコンVAIOシリーズ。ノートPC型のVAIOは上面カバー(液晶パネル裏側)に「VAIO」のロゴが刻み込んである。ノートPC史上、ここまで製品名を大きく刻んであるノートPCはいまだかつてなかったと思う。だからって何がどうしたって事はないんだけれども。

 色は特徴的で好き嫌いは分かれそうだが、見方によってはすごくかっこよく見える。オプションのドッキングステーションにDV端子がついているのが面白いな。

 タワー型はビデオキャプチャーボードが標準でついてて動画編集ソフトもバンドル、CDROMドライブはCD-Rでもあるって事はもしかしたら本体だけでビデオCDの制作ができるって事なのかな。

 とにかく、MSX以来ひさびさの巨人ソニーのパソコンマーケット参入ということで、他の大手電機メーカーもかなり警戒している模様。パソコン市場がこのVAIOシリーズに席巻されることを「VAIOハザード」といって各メーカー慎重に対策を練っているわけはない。

 あとソニーはDV端子でデジタルビデオカメラから静止画をキャプチャーするボードを発表していた。他のメーカーも似たようなキャプチャボード出していたがどれもデジタルレベルでは静止画のみ対応。動画取り込み可能な製品は一切なし。これは技術的な問題や価格的な問題ではなくて単に著作権の問題からくるものなんだろうなぁ。高い金出してデジタルムービーカメラから静止画取り込むんだったらデジカメ買うよなぁ、普通。

 WindowsCEもすごかったがデジカメもすごかった。どこもかしこもデジカメを出していて、これがまたどれもイマイチなやつばっかり。今時こんなもん出して大丈夫なのかよ、これって去年の水準だよなぁっていう製品もあった。

 たとえばキョーセラのDR350。液晶ファインダーのレスポンスが悪いし、撮った後、写真をこの液晶ファインダーで確認できるのだが画質が悪い。一枚撮った後、記憶メディアへの書き込み速度が一服できそうなくらい長い。また、撮った写真の閲覧もかなり時間のある時じゃないとやる気にならないくらいのろかった。面白かったのがここの説明員で、私が「これ遅いですよ」「画質悪いんじゃないですか」みたいないやらしい質問をすると「それがうちの実力なんですよ」とつねにあきらめの言動を連発。デザインはかっこいいので今度はがんばってね。

 東芝のAllegrettoも駄目。画質がイマイチ。軽いのはいいんだけど。

なんかこういうの見ちゃうと散々文句たれて使ってきた私のDC2Lも「結構マシなもんだなぁ」と思ったりしてしまう。

 上の写真は左からNikon「COOLPIX300」、オリンパスの「C820L」、リコーの「DC3」。

 COOLPIXは画質はそこそこだが写真に対して手書きメモが書き加えられる機能を持つ。メモ画面は別レイヤー扱いなので写真画像自体がメモによって「汚される」心配はない。メモは液晶ファインダー画面に対して行うのだが、このファインダーの画面が小さいのでメモの文字が大きくなりトータルとしてはこの機能の実用度は低い。はっきりいってしまうと画面が面積比であと4倍大きくならないとメモ機能は使い物にならないと思う。この画面の小ささと解像度では日本語のメモは四字熟語程度しか書けない。

 C820L。今回自ら触れたデジカメの中では一番まともだった。正方画素じゃないのがいやなところだが、それ以外はいい。接写時の画像の歪みがかなり小さいのが印象的だった。

 でました。DC3。画素数はDC2Lよりも少なくなっているものの正方画素になったのがちょっと悔しい。実際に触ってみたのだが、以前このホームページでたれていたうんこ仕様が全部改善されていた。ちゃんと液晶モニタは電源オンで連動するし、各種モード設定も電源オフにしても保存される。ただ、接写モード時のひずみは変わらず。光学系の改良は行われていない模様。

 このほか触ったものとしてはソニーのDigitalMavicaがよかった。こいつはFDDを記憶媒体として使っていることで有名になってしまったが、個人的には光学系10倍ズーム機能が最大のウリと思っている。実際に触れてみてたしかに10倍ズームは便利そう。写真の画質自体はまあまあといったところ。説明員に「なぜにFDD? FDDじゃなくて他のメディアに保存できる機種もあるとよかったのに?」といったところ、FDDドライブを内蔵したからこそ、ボディがこの大きさになり、この大きさになったので10倍ズームが搭載できたのだ、という説明をしてくれた。なるほど。とはいってもFDDじゃなぁ。次期モデルに期待って感じか。

 

 左はリバーヒルソフトのブース。バーのセットに暗めの照明、渋めの雰囲気を醸し出していた。デモ機では新作のミステリーアドベンチャーを走らせていた。この新作タイトルは残念ながらJ.B.ハロルドや藤堂龍之介シリーズではなくアメリカの作家原作のものらしい。リバーヒルの完全オリジナル作品はここんとこリバイバルものばっかり。そろそろ本当のリバーヒルのオリジナル新作を出して欲しいね。せっかく2大人気キャラクターがいるのにもったいない。

 右はCAIソフトメーカー「ソース」のブースの写真。写真は算数ソフトかなんかのイメージキャラクターらしいが、これ、どうみてもボンバーマンである。そのまま通り過ぎるのに我慢ならなかった私はそこにいた説明員に、

私「このキャラクターとボンバーマンの関係を教えてください」

といってみたところ

説明員「すみません。ボンバーマンてなんですか。」

グハ。やられた。たしかに著作権法では故意に真似たものでなければ罪に問われないんだよなぁ。

予期せぬ説明員の返答に動揺した私は思わず

「あ、爆弾男のことなんですが」

とボンバーマンを和訳しただけの言葉を返してしまい、一層この説明員の頭を混乱させてしまった。(知っている人が聞けば「お、X1版ね」とかいうかもしれんが)

 ヤマハのブース。当然目玉は新XG音源MU100とMU100用プラグインボード「ホルマント・シンギングボード」。

 ホルマント・シンギングボードは音源に歌を歌わせるボードで、本来なら複雑な人間の音声を、1音素が6つのホルマントからなるものとして単純モデル化して実現している。実際の演奏を聞いてみたが、結構まともでそれでいてどこか間抜けさの残る特徴的な音なので、そういう意味では「新しいシンセサイザーの音色」として地位を確立できそうな予感がする。かつてのFM音源ももともとそういう生い立ちでシンセサイザーサウンドとしてのスタンダードになったわけだし。

 写真のお兄さんが何曲かデモ演奏を聞かせてくれたのだが、なかでも細川たかしの「北酒場」が面白かった。声質が細川たかしに似ているのも面白かったが、それよりも所々演歌独特のこぶしのきいた歌い方がシーケンスされているのがいい。専用のシーケンスソフトを使えばこうした情緒ある歌い方も実現できるそうだ。もちろんMU100のマニュアルには可能な限り制御情報を公開するそうなので、やろうと思えばステップエディタやMMLでシーケンスすることも夢ではないのでは? ただ、このお兄さんいわく、手作業でやると「死にます」だそうだ。

 MU100にはこのほかプラグインカードとして物理モデル音源カード、ボーカルハーモニーカードが発売される。ラックタイプのMU100Rにはこのプラグインカードを同時に2枚装着可能だそうで、その場合同種のカードを2枚さす事もできるとか。歌う音源カードは1枚では単音しかでないが、2枚させばデュエットみたいな2ボーカル構成の曲も作れるとのこと。ってソフトは対応しているのかな。

 

 目玉のWindowsCE2機種。左がNEC MOBILEGEAR、右がCASIOのCASIOPEIA。どっちがどう、という話はいずれいろんなパソコン雑誌に掲載されるとは思うが、私が気づいたのは、CASIOPEIAは軽いが内蔵モデムがない、MOBILEGEARはCASIOPEIAよりも重いが内蔵モデムがあるってとこかな。

 しかしどちらも動作速度が遅い。手書きの認識率は驚くほどいいのだが、GUIオブジェクトをクリックしてからの反応速度がPentium級のデスクトップPC/ノートPCを使っている人にとっては「なんか異常が起きているのか」と思えるほど遅く感じる。486SXかなんかでWindows95を動かしているみたいなかんじだ。

 さて、WindowsCEマシンはザウルスと違ってそれ単体で使っていてはあまり意味がない、という点にも注意したい。メーカーやマイクロソフトは一般客には「まったく新しい携帯情報機器」というイメージを植え付けているようだが、実際にはWindows95/NTなどを搭載したPCと連動させて使わなければその価値はそこらへんの安い電子手帳以下に成り下がる。カタログを見ただけだと、辞書から地図からゲームまで、なにからなにまで入っていて同時に使用できる印象を受けるが実際はその日使うアプリをPC側から随時インストールする必要があるのだ。

 昔のポケコン同様、CEマシンのメインメモリはデータなどを保存するディスク領域として、プログラム実行領域として、OS動作領域として、いろんな用途に使いまわされる。そのためメモリがなくなればプログラムも動かなくなるし、データも入らなくなる。だから使用していくうちに溜まったデータは随時PC側に送ってやる必要がある。こういう使い方が最近電子手帳を使い始めたばかりの「ダブルクリックがむずかしい」とかいっているお父さん層に受け入れられるかどうかは疑問。

 ところでMSの日本語版WindowsCEの開発者に聞いた話によれば、OSのアップデートは基本的には行わないとのことだった。バグフィクス用のパッチは適宜リリースするといっていたが、基本的にOSがバージョンアップするときはハードの仕様も変わるというスタンスの模様だ。まぁ、そういうもんだろうなぁ。

 AMDのブース。K6シリーズの成功(本当に商売的に成功しているかどうかは知らないけど)で勢いに乗っているAMDはWinExpoでも「K6 VS PentiumII」という図式をブースのいたるところで展開。

 写真左はフライトシミュレータソフトをAMD-K6-PR233マシンとPentiumII-233MHzマシンを同時に実行させ、フレームレートがどちらがどのくらい出ているかを展示していたセクションの図。結果はわざわざやっているだけあってK6のほうが常に上。ただ、現在K6とPentiumII両対応のマザーボードはないし、ビデオカードの種類も明記していなかったので、公正なテストでもとは思えない。ただ、ベンチを取るとPentiumIIは速いが。実際のゲームなんか動かすとK6のほうが早い気がする、という話も私の周りから出ているので一概に「やらせ」といいきることもできない。実際コストパフォーマンスは断然K6のほうが優れているし。

 右はAMDが携帯情報機器向けに開発したE86プロセッサを使用した携帯パソコンの一例。E86は処理能力的には486DX2相当だが低消費電力でチップセットやグラフィックコントローラまでを含んでおり、低コストでシステムを構築をできる、としている。まぁノートPCに用いるのには非力だが組み込みマイコンチップとしては注目を集めそう。

 DECブース。写真はAlphaPC 164SXマザーボード。DECのAlpha21164プロセッサに対応したマザーボードで説明員の話によればこれを使用したPCが今年8月くらいからサードパーティから30万以下でリリースされていくとのことだった。

 一度聞いてみたかった質問「フルスペックのAlphaと比べて廉価版Alphaってどのくらい性能落ちているんですか」を投げかけたところ「20%くらいです」との正直な答えをもらった。へぇ、その程度の性能低下でプロセッサの価格をここまで下げたんだったらたしかにコストパフォーマンスは高いかもしれないなぁ。

 ただインテル軍勢もプロセッサを今年の夏で大幅値下げするとか行っているし、実際これが魅力ある商品になるかどうかはもうちょっと時間が経ってみないとわからない。

 

 

 

 ユニシスブースには本邦初公開のほんもののNET PCが!! 注目度は低くてみんな気づかずに通り過ぎていく...。そういえば対抗品であるNCは今回は見つけられなかった。オラクルブースにはあったのかなぁ。

 

 

 

 

 

 寒かったのがジャストシステムのブース。写真は、午後3時くらいの当日一番人出が多かった時間帯でしかもプレゼンをやっているところのもの。ズガガーン。この空席の数は一体なんじゃ!?

 ついに一太郎神話も崩れたか。やっぱ7→8ショックの波紋は予想以上に大きかったか。っていうかWinExpoでは目玉がすくなかったからね、ここは。ま、仕方ないでしょ。マイクロソフトのブースと近かったしね。ってなに慰めてんだ、おれは。

 ATOK11、うちのNTサーバーにインストールするとインストールした直後しか使えないんです。再起動するとこけます。早く直してくださいジャストさーん。

 

 

 

 エプソンブース。写真はイメージキャラクタとしてブサイクキッズ「スピード」とディズニーキャラクターを起用したカラリオMJ830CとMJ510のスペシャルモデルの展示セクション。

 XGA対応でパソコン接続キットまで付属しちゃっているデジカメCP500や、XGA対応の液晶プロジェクタELP-7000も展示されていた。

 個人的にいいなぁと思ったのはこの液晶プロジェクタELP-7000。こんなに軽くて小さいのにTRUE XGAとは。明るさは400ANSIルーメンなのでシャープのXV-SN1なんかと比べるとやや劣るのだろうがまぁ、その分解像度はこちらが上だし。こいつのいいところはXGAに対応していながら入力周波数が15kHzにも対応しているところ。つまりテレビゲームからVGA,SVGAの入力も可能ということだ。またその場合スムージング付きのズーム表示となるので、解像度の低い映像を出力してもモザイク状にならないのがウリだとか。これならばプレゼンと映画鑑賞の両方にも対応できるかな。

 説明員の話によると今後でてくる液晶プロジェクタはSVGA以上が主流になるとのこと。で、その場合、それ用のXGAパネルはエプソンしか作っていないそうなので、うちの製品のほうが断然有利ですと、鼻息を荒くしてアピールしてくれた。

 しかし...ELP-7000、120万円は高いよなぁ。ま、個人で欲しがるのが変なのかもしれないけど。

7/2 THE WINDOWSの話

 7月号の付録CDROMに私の曲が収録されるはずだったのだが酔う量的な問題により落ちたらしい。あーあ。

7/3 カルロがくるで賞の話

 7/1の日記でも触れた、Windows World Expo'97のIBMブースにいた猫のカルロ君だが、なんと同社のプレゼント企画で厄介払いにされていたことが判明。

 写真はその証ともいえるIBMのプレゼント企画チラシ。

 カルロシリーズのソフトを購入してユーザー登録をした人から抽選で500名にカルログッズをプレゼントという一見するとありがちな企画なのだが、その横にちょっと小さ目に「抽選で1名」にカルロ君自身を応募者にプレゼントという記述があるのだ。ちなみに、これ、ちっこいおもちゃのぬいぐるみがプレゼントされるのではない。当選者が1名と明記されているように、身長170cmはあろうかという巨大な緑色の化け猫カルロ君が実際に応募者の家にやってくるというものらしい。チラシの下、「当選発表:」のところには「カルロがくるで賞は弊社より当選者本人へ事前にご連絡いたします」とあるくらいだからこの推測に間違いはない。

 滞在期間は書かれていないが、これはすごいことだ。ただ、ドラえもんのように何か役に立つ特技があればいいが、なにもない場合は扶養家族が一人増えるだけなので注意深く応募する必要がある。

 

 

 

 なにはともあれ、当選者は是非とも以下の実験を行って結果を私にレポートして欲しいと思う。

実験1.カルロ君を高さ10メートル(3階程度の高さ)から突き落としてうまく着地できるか。

 一般的な猫は当然できます。カルロ君は体がでかいので単純なスケール計算でいけば(カルロの身長を170cm、一般的な猫の全長を40cmと仮定した場合)理論上、高さ40メートルのところからも着地できると思われるので、2回目はこの高さから突き落としてください。

実験2.カルロ君を富士樹海に置いてきてもちゃんとうちに帰ってこれるか。

 動物には帰巣本能があるので大丈夫なはずです。アメリカ大陸を縦断した猫もいます。

実験3.どのくらいご飯をあげなければカルロ君はカルカン・ブレッキーズに「まっしぐら」となるか。

 やってきたその日からご飯は猫が大好きなブレッキーズだけを与えてください。はじめは食べなくてもそのうち食べるようになると思いますので、何日後に口をつけたか記録してください。

実験4.どのくらい怒らせれば「うす笑い」顔が豹変するか。

 本当に性格がよくていつもにこやかなのか見極める目的があります。

実験5.電車、バス、飛行機などの乗り物にペット料金で乗れるか。

 乗務員に呼び止められたらペットですと言い張るようにしてください。

実験6.25mを何秒で泳ぐことができるか。

 泳げない場合はビート板使用してもかまいません。おそらく一度水に浸かると体重が増加しプールから出ることが困難になると思われます。

7/5 060turboの話 #1

 060turboが届いた。正規版ではなくてベータ版。つい先日発売されたCDROM版別冊電脳倶楽部「激光電脳倶楽部」の原稿の報酬としていただいたものだ。X68030に満開側でとりつけてもらうべく、先月送ったのがついに今日戻ってきたというわけ。

 早速セットアップにかかるものの、ベータだからというわけではないと思うが、付いてきたソフトは古く、マニュアルに記載されているソフトも入っていない。仕方ないので満開ネット(03-3985-6227)にアクセスして最新版を落とそうとする...が掲載されているのが差分ばかりで全部が集まらない。結局あるものだけでセットアップにかかる(後日談:あとで製品版と同等のディスクを送ってもらった)。

 まずはハードウェア的な設定。といっても取り付けに関することはほとんどすべて満開にやってもらっちゃっているのでこちらでやるべき事は少ない。私がやるべきことはセットに含まれている68030/68060のモード切りかえスイッチとモード表示LEDを取り付けるだけ。

 スイッチは本体にカバー上部内側に穴をあけてここに取り付けた。LEDの方は、本体前面パネルのHDDのアクセスLEDの位置に取り付けた。私の(某所から無期限で借りている)X68030はHDD非内蔵モデルなのでHDDのアクセスランプは一生光らない。せっかくなのでこの位置を拝借することにした。スイッチとLEDのわきには、スーパーASCII97年5月号の付録シールの「TURBO」と書かれた黄色いやつを貼り付けた。

 060turboのボードを見るとSIMMソケットがあることに気づく。72pin/60ns/FPM/NPのもので16MB,32MBのものが使えるそうで、装着時にはこの分がローカルメモリとして使用可能になるらしい。さっそく新宿にでかけ72pin/60ns/FPM/NP/32MBタイプのものを買ってくる。

 装着するが動作せず。ズガーン。

 DOS/Vで試すと動くのでどうも060turbo側の問題の模様。

7/6 060turboの話 #2

 新宿に出向き、SIMMをEDOに交換してもらった。

 すぐ帰って来て試す。おお、今度は動作した。マニュアルには「EDOもつかえる」とあるが、うちではEDOじゃないとだめだったことになる。(実験サンプル数は少ないが)

 仕事用にDOS/Vパソコンが数社からか届く。部屋が狭くなる。

 ためしに、こいつらのSIMMを抜いて060turboに差してみる。と、うまくささるのとささらないものがあることに気づく。(いずれもEDOのSIMMだが、刺されるものはすべて動作した)

 060turboのSIMMソケットはSIMMを基板上に寝かせるタイプのものなので、32MBのSIMMで両面にRAMチップが搭載されているタイプのものの中には、寝かせたときに、裏側のRAMチップが060側の基板面に当たり、ちゃんと「寝ない」ものがあるのだ。実際にSIMMを購入する際には060の現物を持っていって試したほうがいいかもしれない...。といっても16MBタイプで最近のものならばRAMチップは片側にしか装着されていないものが多いのでこの限りではないだろうが。

 さて、次にソフト側の設定。結局CONFIG.SYSの先頭はこんな感じに落ち着いた。ものすごいスイッチの数だ。

DEVICE=\060turbo\060simck.sys -K CTRL

DEVICE=\060turbo\060turbo.sys -ss -ts128 -dv -bs512 -hi -ld4Ma -lt -lr -xm -cm1 -ad -fe -ls -np -ss -sd

ちなみに060simck.sysはまんか異ネットにアップロードされていたSIMMのチェックプログラム。これはSIMMが正しく動作しているかチェックするのに非常に重宝すると思うのでユーザーはぜひとも満開ネットでダウンしたほうがいい。

 まだ大したことをしていないのだが、その速さは体感できるレベル。

たとえばZ-MUSIC Ver.3.0のソースリストをアセンブルするのにX68030(25MHz)では35秒かかっていたのが060turbo(コピーバックキャッシュON)ではわずか5秒。この場合はX68030(25MHz)のなんと7倍も速くなったことになる。まったく冗談みたいな速さだ。

 SX-WINDOWもさくさく動いている。シャーペンもこころなしか動作がキビキビしている。

 あと、まーきゅりーゆにっとでZMUSIC Ver.3.0付属ののQUACKY_AD.ZMSを鳴らしてみたところ、驚くべき事に24kHz,16bit,STEREOでも、もたつかないで演奏できてしまった。X68030ではマーキュリーで鳴らすと16kHzでも苦しかったのに。

 ただ、弊害も出るようになった。まずSUPERED.X Ver.1.18。これがキャッシュオン(コピーバック、ライトスルーいずれも)時では文書が化けてしまう。編集中の文書の任意の一文字を削除したりするとその場ではいいのだが、保存すると化けてしまっている。キャッシュOFFにすると正常動作するので、どうもSUPERED.X側の問題のようだ。ただ、このエディタとの付き合いは長いからなぁ。別のエディタでもいいんだが、操作性が同じじゃないとやだしなぁ。なんかないかね。これにかわるようなの。

 あと、これは060turboとは無関係なのだがメインマシンがX68030 with 060turboになってしまった関係で3.5"FDDを使うことができなくなったのがつらい(私はこれまでX68030 compactを使ってきたのだ)。2台のX680x0を相互に接続してお互いのFDDドライブを共有できるケーブル、あれは私も持っているのだが、あれは片側がDSUB37pinで反対側がアンフェノール・ハーフピッチ40pinなのだ。X68030およびX68030compactのFDDコネクタは両方ともアンフェノール・ハーフピッチ40pinなのだ。うーむよわったなぁ。変換コネクタを作るにもピンの配置わかんないし。

 これはやっぱデータ交換の際のメインの相手であるWindowsパソコン側に5"FDDつけるしかないか...。DOS/V用の5"FDDって今でもどっかで売ってるかなぁ。

7/9 Sondius-XGの話

 ヤマハの記者発表にいってきた。

 7/9、この日からヤマハは「Sondius-XG」という特許プログラムをリリースする、というのがその内容だった。

 「Sondius」というのはスタンフォード大学が持っていた物理モデル音源に関する特許の総称で、あまり知られていないがSoundBlasterAWE64から同セットに付属しているソフトウェアシンセ「WaveSynth/WG」のWG音源部分にこの技術が使われている。よくみればSoundBlasterAWE64の箱に「Sondius」の文字が見つかるはずだ。ところで、物理モデル音源といえば思い出されるのがヤマハのVP1,VL1,VL70mといった物理音源モジュールだが、これにもSondiusの技術が使われている。スタンフォード大学といえば、そう、FM音源の理論を完成させた大学でもあり、ヤマハはこの技術の商品化の権利をこの大学から買い取り、世界初のFM音源シンセサイザDX7を実現した。

 でもって「Sondius-XG」の「XG」はご存知YAMAHAが提唱するGM音源の拡張仕様だ。

 今回発表になった「Sondius-XG」というのはこの2つの技術(規格)を1セットにして売りますよ、というものなのだ。具体的に言えば、1枚の契約書にサインするだけでスタンフォード大学とヤマハの両方の特許技術が自分のところの製品に活用できるということだ。

 まぁ、今回の件はいろいろな見方があるが、個人的には2つのねらい(というか「裏」?)が隠されていると思っている。

 まずは物理モデル音源の普及だ。

 現在FM音源は現在の音源のスタンダードとして君臨しているが、その表現力にはそろそろ不満もでてきている。もちろんFM音源固有の「うまみ」をもった音が存在するのは事実だが、PCM音源が浸透してきている現在では、一般ユーザーにはさほど活用されなくなってきている。また、最近のPC搭載率99%のPCM音源は、取り扱いは簡単だが、まったく新しい音を合成する手段は(通常は)持ちあわせていない。PCM音源にパラメトリック・フィルターを組み合わせたハイブリッド型PCMシンセサイザは80年後半から最近まで数多く発売されてきたが、個性的な音を作るには結局FM音源並みの職人芸を必要としてしまいこれもローエンド向きの音源にはなりえなかった。

 そういうなかで現在、物理モデル音源がポストFM音源として注目されてきているのだ。

 物理モデル音源とは、ここ100年のシンセサイザの歴史が培ってきた「波形生成」という視点からの音作りでなく、仮想の楽器そのものを制作しこれを実際に発音させるという仕組みを撮っているところが最大の特徴。物理現象をシミュレートして音を発生させるのでこの名前が付いている。楽器そのものを仮想的に制作して鳴らすということは、その演奏表現の手段・方法は現実の楽器と変わらない…どころか、これを上回る。たとえば実際の管楽器の演奏では舌使いや息の強さなどで演奏表現を行うことになるわけだが、物理モデル音源ではそういった事ができるのはもちろんのこと、これ以外にリアルタイムに管の太さを変えたり、管の材質を変えたり(金管から木管に変えたりとか)....といった楽器の形状変化を起こさせたりすることも可能なのだ。イメージ的には非常にわかりやすいのだが、まだ管楽器に関してしかそのシステムは確立しておらず、打楽器、弦楽器といったものについてはまだ発展途上である。また、管楽器の物理モデル音源についても、最適なその音色制作の仕組みはできていないので、まだこちらも発展途上であるといえなくもない。しかし、完成されればFM音源をしのぐヒット製品になることは間違いない。

 さて、今回発表となったSondius-XGはヤマハとスタンフォード大学との技術のセット商品ということになっているが、これはつまり言い方を変えれば、またヤマハとスタンフォード大学が手を結んだということだ。あのFM音源のときと同じく、ヤマハ・スタンフォード大学組ができたということでもあるのだ。

 現在では専用プロセッサで動いている物理モデル音源だが、今後数年以内にFM音源チップのように1チップ化されるはずだ。今回のSondius-XGにはどの程度の技術が公開されるか知らないが、すでに具体的なハードウェアを製品化しているヤマハに他社が追いつくのはそう簡単なことではない。FM音源チップと同じく、ヤマハが物理モデル音源チップのトップメーカになることは想像に難くない。

 仮に他社がヤマハを追い抜いたところで物理モデル音源の技術使用料はヤマハとスタンフォード大学に入るわけだし、物理モデル音源は結局浸透するわけだし、どっちに転んでも両者にうまいはなしなのだ、これは。

 では、どうして「物理モデル音源に関しての技術売ります」だけにならず、XGもこれに含まれたんだろう。そう、今回のSondius-XGにはXG音源のフォーマットや同音源のオーディオ周りの技術も含まれているのだ。これは一体どんな意味があるのだろう?

 これがもう一つの「裏」で、対「ローランド・GS」の一環なのではないか、と思っている。

 思い起こされるのは去年10月16日。マイクロソフトがローランドが推奨する電子楽器仕様であるGSフォーマットを次期Windowsで採用すると発表したこと。PC界に大きな影響力を持つマイクロソフトが選んだ音源仕様はヤマハXGではなくローランドGSだった、ということで関係者にかなりの衝撃を与えた。

 MIDIというのはもちろん単なる1つの通信規格に過ぎないが、しかしGeneralMIDI(GM)ということになるとDTM、すなわちパソコンとの結びつきを無視することができない。ともにGMの独自拡張使用であるXG、GS、このうちGSが、PCソフトウェア、の大御所、それもOSメーカーのマイクロソフトに取り込まれる事が決定したということは事実上XGの敗北を認めざるを得ない。なにか打つ手はないものか、とヤマハは考えるわけだ。

 Sondius-XG利用企業は同時にXGフォーマットの使用権も得られるわけで、具体的に言えばサードパーティもXGフォーマット準拠のXG音源を制作・販売できるということだ。安価なPC用サウンドカードにXG音源が搭載されるようになればXG音源のでファクト・スタンダードも夢ではない。

 というわけで、いうなれば今回の「Sondius-XG」は、GSに対する巻き返しを狙ったもの、と思えるのだ。

 さてさて、この日、ヤマハは、自らがSondius-XG技術を使った製品を同時に発表した。

 これがなんと驚きのソフトウェア版物理モデル音源なのだ。

 名前は「S-VA(仮称)」で、担当者の話によればVL70mと互換性があり、ほぼVL70mをソフトウェアシンセサイザ化したといっていいようだ。

 VL70mということは...そう、モノラルの単音ということになるが、これだけでは使う人が限られてしまう。ということでS-VAにはS-YXG50相当のソフトウェアMIDIも含まれている。実際の演奏デモが行われたが、なるほど、PCM音源系のシンセとは違った情緒ある演奏が行われていた。物理モデル音源チャンネルは1〜16のチャンネル内任意の1チャンネルをアサインできるとのこと。VL70mと同等ということは逆に管楽器系が強いということになるだろう。

 これまでのヤマハのソフトウェアMIDI音源は画面が地味だったが、S-VAは実際の楽器の画像をアニメーション表示させたりしててド派手な画面になっていた。さらに物理モデル音源チャンネルは実際に演奏中の指使いまで画面表示されるので見ていて飽きがこない。

 このS-VA、発売時期・価格ともに未定。ただ少なくとも年内には発売したいということだった。ただし要求するCPUパワーは高く、なんと最低でもPentiumII266MHzクラスが必要とのこと。とはいってもデモ演奏は東芝のTECRA(MMX Pentium 166MHzあたり?)かなんかで動いていたようだったので、まあ動かすだけだったらば何でも動くんだろうけども。

 なお、Sondius-XGの具体的な内容に付いてはhttp://www.Sondius-XG.comを参照のこと。


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Music : "Along the Seashore/SC88" By Z.Nishikawa