6/1 AMD-K6の話

 Panasonicの一体型パソコンのWOODY(Pentium 120MHz)をアップグレードしようというDOS/V magazineの企画を請け負った。

内蔵ビデオチップのTGUi9682を殺して外付けビデオカード(S3 ViRGE/DXとか)にしたり、メモリ増設をしたり、CPUの換装を行ったり、いくつかのアップグレードを行ったがいずれも成功。ま、くわしいことは今月発売のDOS/V magazineの特集を参照してもらうとして、ここで触れておきたいのは話題のAMD K6のこと。

 このWOODYに対して実際に換装を行ったCPUの種類はMMX Pentium 200MHz,MMX Pentium ODP 166MHz,AMD K6-PR200の3つ。結論から言えばいずれも正常動作した。ただし、ODP以外のCPUはメルコのMVR-MX2を用いての接続となった。

 MVR-MX2はいわゆるレギュレータ「げた」とよばれもので、メインボードが古くて、CPUへの供給電圧が最近のCPUに対応していない場合に、この装置が適切な電圧に変更してくれる。MVR-MX2はMVR-MXの後継機種でMMX PentiumはもちろんAMD-K6やCyrix 6X86にも対応したメルコ製「げた」の最新バージョンだ。

 WOODYのメインボードはCPUソケットにソケット7を採用しているものの、CPUに2.8Vとか2.9Vの電圧を送れないのでこの装置を使って接続したわけだ。

 さて、話がそれたが、とにかくWOODYはこの最新CPUを搭載することができたわけだが、注目すべきはそのパフォーマンス。いずれもベンチマークテスト・レベルで元の状態の2倍から3倍の性能値をマークした。WOODYはL2キャッシュも搭載していないしょぼいマシンなので、元の状態のPentium120MHzのときもCPU性能が100%生かしきれてなかったのだと思うが、とにかくクロック比以上の性能向上を見せる例はマレなので、こうした特集ネタにはおあつらえむきのマシンだったといえる。

 クロック比以上の性能向上を見せた原因としては、やはりL2キャッシュの無いマシンだっただけに、L1キャッシュがもとの2倍(MMX Pentium)〜4倍(AMD-K6)になったことが大きかったのだと思う。

 その筋の人間として気になるのはやはりMMX Pentium 200MHzとAMD K6-PR200、どちらが早かったの?ということだと思うが、結論から言うとAMD K6のほうが速かった。16bit命令、32ビット命令、いずれもこのWOODYで動かしたときにはAMD-K6のほうがベンチマークではいいスコアを出している。しかしスコアの違いはそれほど大きいわけでもなく、また体感スピードも元のPentium120MHzのときよりは圧倒的に速いことはわかるものの、MMX PentiumとAMD-K6のときにどちらが速いかはわからなかった。まぁ、そういうものだろう。

 このあとMMXアプリケーションを動かしてそれぞれのMMX性能を評価したのだが、驚くべきことに、ここではものすごい体感速度の違いが発生したのだ。

 使用したMMXアプリケーションはソフトウェアシンセサイザのローランドVSC88M。これで最大同時発音数を計測したのだが、2倍以上もAMD K6が多いのである。また演奏時のCPU負荷もK6のときのほうが低い。

 ちょっとまてよ。MMXに関しては、いろんなパソコン誌で

「MMX実行ユニットはAMD K6が1つ、MMX Pentiumが2つ。MMX PentiumではMMX命令を同時に2つまで実行できるがAMD-K6では1つしか実行できない。MMX性能に関してはAMD-K6はMMX Pentiumに一歩譲る」

といわれてきたのになんで??

 適当なパソコン雑誌でAMD-K6とMMX Pentiumのブロック図をみるといいのだが、AMD-K6はMMX命令実行ユニットが1個しかないが、しかし、他に6個の命令実行ユニットがあるのがわかる。AMD-K6はこれが独立に絶えずアウト・オブ・オーダー(命令の存在順序に関係なく)で動作する。つまり、MMX命令実行中でも可能であれば他の6個の命令ユニットで並列にMMX命令以外の命令を実行できてしまうのだ。

 実際のCPUは、たとえMMXアプリケーションであっても、いつもMMX命令を実行しているわけではない。MMXアプリケーションといったって全部MMX命令でプログラムされているわけじゃないし、仮にそうだとしてもタイムシェアリングをしているマルチタスクOS(たとえばWindows95)ならば割り込みが入ったりすれば割り込み処理ルーチンへ飛んでいくわけで、いつもいろんなタイプの命令を実行しているわけだ。そういう意味ではMMX PentiumはMMX命令実行ユニットは2つ持っているものの、一般の命令実行ユニットは2つだけ、しかも同時に2つ動作するには特定の条件が成立するときのみだ。さらにMMX Pentiumの場合、命令の実行はイン・オーダー(命令の存在順に従う)なので同時実行が行われる確立はAMD-K6より低くなる。

 ようするに、この場合、K6のMMX実行ユニットが1つしかないのは、欠点というよりは、CPUの実際の実行に際して2つあっても大して速度向上に結びつかないので1つで十分だ、ということでこうなったのだろう。逆にK6は整数演算実行ユニットは2つ持っているが、これは実際のプログラム実行において整数演算の出現頻度は高いので同時実行効率を下げないためにこうしたのだろう。つまりK6はアウト・オブ・オーダー型スーパースケーラのアーキテクチャのもとにベストチューニングされていると考えられるのだ。

 まぁ、今回の実験は特別な状況だと仮定しても「MMX命令実行ユニットが1つしかないからK6はMMX機能においてMMX Pentiumより劣る」とかいいきってしまっているパソコン誌はちょっと寝ぼけているとしか思えない。(そりゃあ、割込み禁止した状態でMMX命令だけのルーチン実行したら差は出るかもしれないが)

 というわけで、K6はけっこういいかもしんない。

6/2 NEWレッツノートの話

 あたらしいレッツノートが出る。これはまだオフレコなのかな。もしかしたらPC Watchよりはやい?

私が見たのは1週間前なのでもう結構広まっているニュースかもしれないけど。

 実物を見せてもらったのだがこれがなかなかいい出来栄えだ。まず、あのタッチパッドが廃止された。イヤーやっぱいってみるもんだね。NEWレッツノートは光学式のトラックボールが採用されたのだ。ボタンがボールを挟んで上下に位置しているのがやや癖があるけれども。

 CPUはMMX Pentium150MHz。まぁ、自然な成り行きでしょう。HDDが1.6GBとかメモリを標準で32MB、とかいうのも時代の波に載った設定で特にすごいってわけでもないし、だめってことでもない。ビデオがCT65550からNeoMagic2093になったのはスペック表みなきゃ気づかないかもしんない。

 まぁ、あとこのNEWレッツノートでうれしいのはさっきいったトラックボール採用の点ともう一つ音源周りの改善だろう。音源はついにSoundBlaster 16互換になった。16ビット/ステレオ/44.1kHzとなりやっとソフトウェアシンセなどが使えるようになったのだ。とおもったら、なんか音源チップにははじめからGM再生機能があるようだ。それに3D立体音響のエフェクト機能もある。でも本体スピーカはモノラルだったりする...。あ、ヘッドフォンはステレオになったんですね。前のは詐欺臭かったですからね。え?あれはなかったことにしてくれって?まぁ、許しましょう。

 なんか軽量化にはとことんこだわっているようでトータルで80グラム軽くなったそうだ。これはすばらしい。うちわけは、液晶パネルを40g、キーボードを30g、本体を10gだそうな。涙ぐましいのう。しかしB5サブノートで1.39kgは軽いねぇ。

 おおう、そうだ、あの情けないバッテリカバーはなくなっていたぞ。またバッテリーの形状も変わっていた。ただ相変わらずCPUファンはウインウイン回ります。ただ、音は静かになったそうな。

 うーん、ほしいなぁ、これ。ところで166MHzのはでないんですか? え?去年を思い出せって? ははあ、ということは3ヶ月後とか? そんなこといえないって? まぁ、今おかねないし。もうちょっと待つか。

 あのうレッツノートミニ、あれもそろそろ新しいの出して欲しいんですけど? 年末まで待てって? 結構いろいろ教えてくれるんですね、この私に。

 これはなんですか。レッツノートエース? エースが出るってことはこのあと「プロ」とか「エキスパート」とかもでるんですか?え?でない?

 冗談はともかく新シリーズ「レッツノートエース」もトラックボール採用でCDROMドライブ内蔵でジャスト2.0kgはなかなかよさそう。

 こりゃあ東芝も、うかうかしてらんないねぇ。

6/4 NEW PORTAGEの話

 いってるそばから 東芝がB5サイズでXGA液晶ディスプレイ採用の軽量サブノート「PORTAGE300」を出してきた。くわしくは東芝のホームページ(http://www2.toshiba.co.jp/pc/index_j.htm) を参照されたし。

 MMX Pentium 133MHzで重さが1.7kgなのがややNEWレッツノートに劣るが、厚みはレッツノートより薄い。なかなか競合しそうなマシンだ。

 あら「XGA液晶パネル採用」とはいっても1024x600なんだよねぇ。メビウスワイドとおんなじだね。

 バッテリー駆動時間は2〜2.5時間かぁ。

 いつも新しいノートパソコンが発売されるたびに思うんだが、バッテリー駆動時間がどれも3時簡以下という風潮はいつ終わるんだろう。ノートパソコンの重さのなかでバッテリーが占める割合って大きいよね。バッテリーってなんか他のパーツと違って重さと性能の割合が合っていないと思うんだよねぇ。ノートパソコンにおけるバッテリーってさ、もちろん基礎分野の研究は各社やっているんだろうし、わざとやっているわけじゃないとは思うけど、あまり重視されていない要素って印象を受ける。

 それでさ。カタログ記載の数値と違うんだよなぁ。3時間と書いてあったって3時間動作する機種はマレだ。リブレット50なんてカタログ値で2時間だけど、モデムカードで通信なんかすると10分もたない。音楽なんか鳴らしたらそれこそとんでもないことになる。

 やっぱり「普通」に使って連続使用で6時間は使えないとねぇ。結局本体が何キログラムとかいったって重いACアダプを持ちあるくことになるわけで、今のノートパソコンのバッテリーの存在意義ってほとんどないってかんじだ。

 ノートPCの開発者に聞くと

「Pentiumと液晶(バックライト)とHDDが電気食いまくるんですよ。実際3時間も動かしてるのってすごいことなんですよ。」

という。なるほど、確かにいわれてみればそうだな。カタログの中の消費電力の項は今まであんまり見てなかったわ。たしかに30Wとかのものをこれだけちっちゃいバッテリーで3時間も動かすなんてすごいことなのかもなぁ。さらに

「CPUをPentiumやめてカラー液晶じゃなくしてHDD無くせばかなり持たせられますよ。今の技術なら。」

ともいわれた。

 あはは、それじゃノート・パソコンじゃないじゃないですか。

 はっ!! まてよ。

 そうか、それがWINDOWS CEマシンなんですね。

6/5 エルマタドーラとカー・オブ・ザ・イヤーの話

 「『カー・オブ・ザ・イヤー』も正解は『カー・オブ・ジ・イヤー』でしょうね。」

というメールをいただいた。確かに。yearはカタカナ表記にしてもイヤーだもね。となると、「〜オブ・ザ・イヤー」系は全滅だな。

 また、同じ方から、エル・マタ・ドーラが聖蹟桜ヶ丘の京王百貨店にもあるという情報をいただいた(中嶋祥史さん、どうもありがとう)。実際にはこの情報入手直後、偶然にもまったく別の場所で購入したのだが、とにかくドラえもんズがそろいました。いやぁ、うれしい。

6/6 バッグスバニーの話

 私は藤子不二雄ファンだが、実はワーナーのルーニーたちのファンでもある。新宿のアルタ横にあるワーナーの店はもちろんいったことがあるが、あそこはダメ。商品の品質が悪い。というかキャラクターグッズのデザインがオリジナルからかけ離れすぎていて、なんだか店自体が大いなる間違いの産物という気さえする。店に来ている女子高生客がテゥイーティーを「わぁ、かわいい、ひよこちゃんーっ」と勘違いしてしまうのは無理もない(本当に勘違いしているのかもしれないが。トゥイーティはカナリヤだ)。特にひどいのがぬいぐるみで、「量産製品だから」という妥協さえできないほどのヘンチクリンさにあきれるばかり。ロンドンのワーナーの店はもっといいもの売ってたぞ。

 ルーニーチューンズのファンはある意味、一度見ておく必要があるかもしれない。

 と、前置きはこれくらいにして。

 そういうわけで、アメリカで発売されたバッグスの記念切手はどうしても欲しかったのだが、これを幸運にも入手することができた。昔H社にいたときの寮の同室だった友人、MPCMの作者でもあるWachoman君が現在ゲイツのところ、すなわちシアトルで働いているので、彼に頼んで送ってもらったのだ。

 シール型の記念切手で種類としては先月発売されたドラえもんの記念切手に近い。

 実際の図柄はUS Postal Serviceのホームページ(http://www.usps.gov/images/stamps/97/bugbunny.jpg)を参照のこと。

 不思議とこの切手もバッグスだけの図柄でダッフィとかロードランナー、コヨーテ、シルベスターなどはいない。うーん、もしも、今後シリーズ化されて各キャラのものが次々に発売されたとしたら...。ちょっと欲しすぎる。

 新宿のワーナーショップよ。へんちくりんなニセグッズあつかわないでこういうの置いたらどう?0

6/7 最近やっているゲームの話

 まず、マイクロソフトのDEADLY TIDE。水棲型エイリアンの侵攻により水没した地球を舞台に、1匹野郎の主人公がエイリアン撲滅のためにドンパチはじめちゃう単純明快な「撃つだけ」ゲームだ。ムービーの中に敵キャラをミックスした、ガンシューティング系ゲーム。全編レンダリングされたCGムービーが流されるのだが、この映像の品質はなかなか。スコアがないしアドベンチャーかというとそうでもなく16面くらいでエンディングを迎えてしまう。ガンシューティングだからランキングとかあったりするともうちょっと面白くなるのになぁ。私が迎えたエンディングはイージーモードでプレイした関係か最後の脱出シーンでエイリアンに誘拐されてしまうパターン。ノーマル、ハードではエンディングは違うのかな。知っていたらだれか教えてください。

 次もマイクロソフト、「モンスタートラック」。グラフィック的には面白いんだけどゲームはすげえ大味。ゲームは遅いマシンでもそこそこ速く動くのだが、CDROMの読み込みが遅いのが気になる。

 ナムコのエースコンバット2.サウンドもゲームもよくできている。アナログスティックがほしくなる。それも操縦竿タイプのね。3Dシューティングゲームとフライトシミュレーターの両方の面白さをバランスよく詰め込んでいる感じ。グラフィックもきれいだし、動きもいい。自機はいろんなタイプがあってモデリングも凝っているが、私はコクピット視点でないとプレイできない人なのでイマイチそのありがたみに授かれない。

 中盤からでてくる着陸シーン、何度やっても難しい。まだ一度もまともに着陸できない。着陸操作時に出てくる「右旋回せよ」みたいなアドバイスメッセージ、あれってちょっとおかしくない? なんかでたらめのような気がするんでほとんど無視して画面からの視覚情報のみを便りにして挑んでいるんだけれども。

6/11 オブ・ザ・イヤーとGO! GO! HEAVENの話

 読者の方(徳田さんありがとう)から「オブ・ザ・イヤー」の「THE」は「ザ」でいいんだというメールをいただいた。イヤー(YEAR)の「イ」は母音でなく「JI」と発音するため、これの前の「THE」は「ジ」ではなく「ザ」が正しいというのだ。

 いわれてみれば、われわれも受験英語の問題で、「2つの単語の下線部の発音が同一の組み合わせに○をつけなさい」みたいな問題で「YEAR」は出題常連単語だったではないか。これはうかつだった。

YEAR(年)   EAR(耳)

ちなみにこれはどちらもカタカナ発音では「イヤー」の「イ」だが、「×」なのだ。

 「YEAR」の「イ」は上でいったように「JI」、「EAR」の「イ」は母音の「I」。つまり「1年」「1つの耳」はそれぞれ「A YEAR」「AN EAR」となるのだ。

 うーん、受験英語も役に立つもんだなぁ。

 と、同じ人から、おかしな和製英語の投稿があったので紹介しよう。

 それはブサイクキッズの異名を取るSPEEDの曲「GO! GO! HEAVEN」。「天国までいっちゃえー」という意味にしたいならば「GO! GO! TO HEAVEN!」となるべき。しかし「GO TO HEAVEN」は「死んじまえ」の意味もあるからなぁ。または「空高く舞い上がりたい」みたいな意味にしたいならば「GO! GO! TO THE HEAVENS」となるかな。

 ちなみに、そのままだと「ヘヴン」という人に対しての命令文となってしまう。つまり「いけ!いけ!ヘヴンちゃん」みたいなしょーもないギャグ漫画のタイトルのようになってしまうのだ。

 ところでSPEEDってまたコムロ、プロデュースだっけ? だとしたらこの人、英語に呪われているな。

6/13 SoundBlaster PRO互換の話

 またまた読者の方からの投稿記事(橘家さんありがとう)。最近勉強になることが多いなぁ。

 今度は、よくノートPCなんかのカタログのサウンド機能の項目に載っている「SoundBlaster PRO互換」という記述。これはWindows環境におけるPCM音源の性能をあらわしているものではない、という指摘。

 以前、私がLET'S NOTE(AL-N1)の搭載PCM音源が8ビットで22.1kHzの性能しかないことをこき下ろして「なんでSoundBlaster PRO互換じゃないんだー」と叫んだことがあった。しかし、SoundBlasterシリーズの系譜を見てみると

 SoundBlaster   PCM:22kHz 8bit MONO

 SoundBlaster Pro PCM:44kHz 8bit MONO/22kHz 8bit STEREO

 SoundBlaster 16  PCM:44kHz 16bit STEREO

となっているわけで仮にPRO互換であっても16ビット/ステレオ/44.1kHz(いわゆるCDレート)の再生はできないことになる。でも、ノートパソコンのカタログに「PRO」互換と記載されている機種には実際このCDレートの音源機能が備わっている。じゃあどうして「SoundBlaster 16」互換って書かないんだろう?

 実はカタログ記載の「SoundBlaster互換」というのはあくまでDOSレベルからの音源仕様であってWindows環境からの音源仕様をあらわしていないというのだ。

 順を追って話そう。

 DOS/Vパソコン(PC/AT互換機)には実はSoundBlaster以外に互換音源があった。それは91〜92年にマイクロソフトから発売された「Windows Sound System(WSS)」というもの。これはAdlib社製のFM音源サウンドボード互換機能をもちつつ、マイクロソフト独自仕様のCDレートPCM音源を搭載したサウンドカードだが、SoundBlasterには勝てず、あまり売れなかった。橘家氏の話によればマイクロソフト側もこれをゲーム用として売り込むつもりはなかったらしく、むしろPowerPointさえなかった時代のオフィスアプリケーションのプレゼンテーションサウンドデバイスとしての普及をねらった製品だったらしい。ちなみにコイツはDOSからはAdlib互換、WindowsからAdlib互換+CDレートPCM音源という機能を持っていた。

 しかし、結局SoundBlasterはビジネスシーンへの浸透までも果たし、このままWSSというものは自然消滅の道を歩んでいたのだが、ESSテクノロジーがES-688という音源チップを開発したことによって状況が一変した。これはFM音源部をSoundBlaster互換、PCM音源部をWSS互換にしたもので、DOSからはSoundBlaster,WindowsからはSoundBlaster+CDレートPCM音源(WSS)の性能を持っていた。これが台湾製の安い音源カードに採用されたり、ノートパソコンに採用されるようになって一気にシェアを伸ばしたのだ。現在ではこのES688の後継チップES1688/1788といったものが最近のノートパソコンの搭載音源の主流となっている。ES1688はDOSからはSoundBlaster Pro互換、WindowsからはSoundBlaster PRO+CDレートPCM音源(WSS)の機能を持つ。1788は1688をPnP対応にしたものだ。

 ちなみに、LET'S NOTE(AL-N1)の音源はES1488。こちらはデータシートがないので詳しく断言はできないが、SoundBlaster互換のみの音源チップのようだ(DOSからもWindowsからもSoundBlaster2.0互換(8bit/モノラル/44.1kHz or 16bit/モノラル/22.1kHz))。つまりWSS互換でなかったためCDレートPCM音源機能がなかったというわけ。(NEW LET'S NOTEは6/2の日記参照)

 するとノートパソコンのカタログのサウンドの項目のところに「SoundBlaster XX互換」とあるだけではWindows環境下のサウンド性能は分からないって事になる。このような互換チップを使っている場合、「SoundBlaster互換」「SoundBlaster PRO互換」であってもWindows環境下のPCM音源機能は特定できない場合があるからだ。

 だったら、なんで最近のノートパソコンのカタログの音源の項目には「WSS互換」の記述も、音源チップの型番の記載がないんだろう? ビデオチップは結構誇らしげに書いてあるじゃない? CT65554とかNM2903とかさ。

 これはやっぱりSoundBlasterという名前があればいいということなんだろうね。メーカーにとってノートパソコンの音源なんて音が鳴ればいいやって言う感覚なんだと思う。

 NEW LET'S NOTE(AL-N2)の試作機を借りるときに松下の営業と開発の人と話す機会があったんだけど、そのとき

「新しいLET'S NOTEはSoundBlaster PRO互換ってありますけどカタログに『16ビット/ステレオ/44.1kHz』とありますけど、SoundBlaster PRO互換なら『8bit/モノラル/44.1kHz』だと思うんですが?」

と聞いたのだが

「うーん、ちょっとサウンドはよくわからないんです。すみません。」

「前のLET'S NOTEではなぜES1488を使用したんですか。」

「特に理由はなかったと思います。」

との答えだった。

 うーむ。たしかにドライバもOEMだろうし、音源周りの設計だって仕様どおり配線するだけだし、設計者が機能知らなくてもパソコン(とくにDOS/Vパソコンならば)なんてできちゃうものなのかもねぇ。

6/14 THE WINDOWSの話

 THE WINDOWS 7月号のCDROMには私の作曲した曲が収録されています。暇な人は聞いてみてください。SMFですので再生環境は選びませんが、音源はSC88/VL/PROです。

 ってまだ掲載誌がこないんで、確認してないんですけどね。

6/15 銀河ヒッチハイクガイドの話

 元Oh!Xのライター、S-OS関連のプログラムや、X680x0用カードゲームドライバの開発者でもある毛内俊行氏から「銀河ヒッチハイクガイド」を譲ってもらった。どうもありがとう。毛内氏はボンバーマンでいつも青いキャラを使うんだけどみんなからカモにされていて、毎ゲーム、プレイ時間がもっとも短い男としてみんなから恐れられていなかった人です。

 今はまじめに会社員しているみたいですね。実はこの人(って言うのも失礼なんたが)私より年上なんですよね。その事実を知るまでタメ口聞いていたんですけど、年聞いた後もタメ口でした。わははは。だって見かけ若いんだもの。

6/16 PORTEGE 300の話

 東芝の最新サブノート「PORTEGE 300」を借りた。ワイド画面は思ったよりも使いやすい。けれど、液晶パネルの最下部スペースがあきまくっていてなんかもったいない。がんばれば1024x600じゃなくて、1024x768もいけると思うんだけどなぁ。

 全体的なフォルムは薄くていい。重さは1.7kgなので最近のサブノートPCとしては標準的(もしくは重い?)。ただ、サイズは薄さに限ってはNEW LET'S NOTE(AL-N2)よりも薄い。しかし、1.7kgって東芝のノートパソコンの中ではリブレットを除けば一番軽いんだよね。どれだけ東芝のノートPCがどれも重量級かわかるな...、ま、シャープよりはましか。たはは。

 気になったのはFDDの接続に関して。付属FDDは本体に内蔵もできないし、直接接続もできない。接続には拡張I/Oアダプタが必要。もちろんこれは本体付属なのだが、どうせ拡張アダプタかなきゃ接続できないんならば拡張アダプタとFDDを合体させてドッキングステーションみたいなスタイルにすりゃいいのに、ケーブルを介す外付けなんだよね。わけわからんと思ってみたらこのFDD東芝のほかのノートパソコンのものと同じじゃん。そうか、部品共有させてコスト下げようというのね。

 それは許すとしても、別売りのCDROMドッキングステーション、これはCDROMドライブが内蔵されているんだけどFDDはやっぱり外付け。こりゃどういう了見じゃい。

 性能的には悪くないんだけどねぇ。買いじゃないな。レッツノートのほうがまだ欲しいと思う。

 そうそう、ちなみに今度のDOS/Vマガジンに載るLET'S NOTEのPR広告、私が担当しています。見かけたら読んでね。

6/17 AMiTY CNの話

 三菱からもついにA5ノートPCが発売になる。これも試作機を借りたのだが、チャンドラーのOEMだと思ったら独自仕様品だった。Pentium 133MHz,MEM16MB,1.2GB HDDという構成で重さ1.1kg。名前はペン・コンピュータとして有名になった同社の「AMiTY」を襲名して「AMiTY CN」。A5ミニパソコンとしてはスペックは押さえるとこは押さえていて好感が持てるのだが、細かく見ていくとヌけているところが多い。

 まず、L2キャッシュがない点。Pentium133MHzとは思えないウスノロさにあきれが来そうだが、消費電力との兼ね合いで削除したんだとすれば、まあ、仕方ないってとこかな。だったら100MHzでも全然いいと思うんだけど。

 もう一つはDSTNの7.5"の液晶パネル。画面が小さい。全然売れなかったAMiTY VPの部品の流用だと思うのだが、それはそうだとしても液晶パネルのフレームのあまった面積が広すぎるのが笑いを誘う。当然VGAサイズだ。

 AMiTY CNに採用されている液晶パネルは、ただのDSTNではなくて三菱独自技術でのDSTNを改良したDFPassive方式とよばれるもの。明るさと色合いはTFTタイプに匹敵する画質だが、いかんせん、視野角が狭くて、反応速度が遅い。すくなくともゲームは絶対遊べるもんじゃない。QUAKEなんかをこいつでやると登場キャラクターが残像でまくりでわけわかんなかった。

 うーん、トータルで見るとチャンドラーのほうがましかな。BIBLO/NCとどっこいどっこいって感じかな。まぁ、買いじゃないなぁ。これは。

6/18 X-WING VS TIE FIGHTERとゲームゾーンの話

 ついにあのウワサの3Dシューティングゲーム「X-WING VS TIE FIGHTER(以下XVT)」を買った。

 マニュアルのキー操作一覧のページを見て驚いた。コリャすげー。この複雑さは尋常じゃない。まるでエディタソフト並みだ。

 事前に操縦竿タイプのジョイスティック、マイクロソフト・サイドワインダー・PRO 3Dを買ってあったのでこれを使用して遊んでみた。

 かなり面白い。映画そのままのジョン・ウィリアムスのサントラBGMに結構だまされちゃっているのかもしれないけど、臨場感はかなりのもの。

 スターデストロイヤーをかすめるように飛んだりすることもできるし、敵味方入り乱れての宇宙戦が1プレイヤーモードでも楽しめるし。ただ、ゲームの難易度はたとえ「EASY」にしても高い。

 で、このゲームといえばやはりインターネット対戦。これがまたハマってしまった。対戦はマイクロソフトが開設するインターネットゲーム・ゾーン(http://www.zone.com/asp/home.asp?member=yes)で行う。

 このゲームゾーンは入会手続きは必要であるが、入会金、利用料は一切タダ。見知らぬ外人と、電話を止められるまで、もしくは目がつぶれるまでプレイしつづけることができる(もちろん、プロバイダ料金と電話代はかかるぞ)。

 ここのゲームゾーンはXVTプレイヤー以外でも楽しめるのでWindows95/NTユーザーはぜひ出かけてみて欲しい。オセロやトランプゲームなどをチャットをしながら楽しめるようになっているぞ。ちなみにオセロやトランプゲームはここでフリーソフトウェアとして配られているモジュールをインストールするだけでプレイすることができる。

 市販ゲームの対戦コーナーとしては、ここにはXVT以外にゴルフゲームやモンスタートラック、ヘルベンダーなどがある。こうしたゲームタイトルを持っている人もぜひ一度覗いてみよう。

 さて、XVTの対戦だが、これが燃える燃える。チーム対戦、デスマッチ、協力プレイ、いずれも今までの通信ゲームにはなかった「通信ゲーム」奈良ではの面白さがある。

 私のここでのハンドル名はzenjin。見かけたら撃ち落としてくれ!!

6/19 SPEEDの話

 「SPEEDはコムロファミリーじゃないよ」というメールがどかどか届いたので訂正します。伊秩弘将という人がやっているそうです。

6/20 わくわく7の話

 お金がないのでありったけのゲームソフト売ってお金を作って買った、今日発売のセガサターン版「わくわく7」。

 ガーン。楽しみにしていたのに。なんか変な出来栄えだぞ。

 背景がなんだかPC8001みたいではないか。パッケージの画面写真は小さいし、このあたりがわかりにくい。だまされたー。ゲーム自体の出来はまあまあなんだけどアーケード版を知っているとどうにもこうにも...。もしかしてギャラクシー・ファイトのサターン版もこんな出来だったのかな。

 ネオジオの移植ものは外れが多いが、前買った「メタルスラッグ」が結構よくできていたので期待していたのだ。あーあ。

 まあしばらく遊んだら値が下がらないうちに売りにいこうっと。

 こんなことならネオジオのロム版を買えばよかった。といってもロム版は値が高いけど...。「わくわく7」のロム版って今いくらくらいになっているのかなぁ。

6/21 O.M.Y.の話

 ポニーキャニオンからの招待でO.M.Y.のライブにいってきた。プレス向けに配られたチケットを見ると「4,500円」の値が打ってある。結構高いんだなぁと思いつつ入場。

 場所は渋谷のライブハウス「ON AIR EAST」。ここは設備的にも大きいし、PA関係もすごそうだし、ちょっとしたコンサートホール並み。というかライブハウスとコンサートホールの中間的な存在なのかな。ホールの音響とライブハウスの雰囲気が味わえるいい場所だ。著名プロも結構ここでやっているみたい。私が一番気に入ったのはここが「禁煙」だっつーことだな。普通のライブハウスは煙いからなぁ。

 さて、今回のライブは、1981年に行われたY.M.O.ライブ「WINTER LIVE'81」をそのままパロディで再現するというコンセプトがあるらしい。ライブ開演前の会場内は期待感でいっぱいのファンがすし詰め状態。よく集まったなぁ、これだけの人。

 ここで解説。

 O.M.Y.とは伝説のテクノバンドY.M.O.(Yellow Magic Orchestra/細野晴臣、坂本龍一、高橋幸宏)のパロディバンドのこと。Y.M.O.を逆さ読みしてO.M.Y.(Oriental Magnetic Yellow)というわけだ。Y.M.O.のメンバーの本人達の了解を取ってやっているのかは定かではないが、曲はもちろんのこと、服装スタイルやアルバムタイトルまでオリジナルを徹底的にパロディしちゃうのが、O.M.Y.の特徴。曲のほうもY.M.O.の曲「一対一」に対応したパロディ曲を作っているのが、これまでのY.M.O.パロディ/コピーバンドと違うところだ。たとえばY.M.O.「RYDEEN(雷電?)」は「RYZEEN(雷神?)」という名前になっており、曲は、ほぼそのままのリズムやコードに、オリジナルと似ているようで似てないようで似ているような...メロディが展開する。「軽いデジャブーが楽しめるテクノサウンド」、O.M.Y.の曲の面白さはこんなとこにあるんだとおもう。

 もともとは同人音楽集団のような形で始まったこのバンドも、いろいろな要因が重なってポニーキャニオンからCDが発売され、こんな大きなホールでライブを開けるくらいまで人気が出てしまった。

 その要因の大部分は、もちろん懐かしくてユニークな音楽にあるのだろうか、O.M.Y.の構成メンバーにもちょっとしたいわくがあり、これも人気に一筋絡んでいるといっていい。そのいわくとは....

 知っている人も多いと思うが、O.M.Y.のメンバーは全員、元ナムコ(『現』もいるらしいけど)のゲームサウンドスタッフなのだ。それも往年のナムコの人気タイトルのゲームミュージック作曲者ばかりということで、O.M.Y.のファンはY.M.O.のファンよりも、彼ら自身のファンのほうが多いともいわれている。その「彼ら」とは細江慎治、相原隆行、佐野信義、佐々木宏人の4名。ドラゴンスピリット、リッジレーサー、ギャラクシアン3...など、彼らの手がけた作品はあげればきりがない。

 またゲームによってはその音楽の人気がゲームのほうのヒットを誘発したこともあるくらい。またナムコ・ゲームサウンド・スタッフは、90年前半のゲームミュージックブームのときにも目だって表舞台に現れることがなかったので、そういう意味でもO.M.Y.というのはゲームミュージックファンから見れば注目度は高いわけ。

 19:00、時間どおりにO.M.Y.のメンバーが登場。

 歓声の中、演奏が始まった。メンバーが一人多いみたいだが...。ドラマーが外注プロなのかな。ちょっと未確認だが。

 演奏曲は6/18発売の新アルバム「TECHNODERUCK」(CD:PCCB-00265 ¥2,039(税込み)/ポニーキャニオン/Y.M.O.「TECHODELIC」のパロディ)の曲がメイン。演奏はうまいし音的にもいいんだけど、一曲の演奏が長いかなぁ。1ループ目は「おお、なつかしい。おもしれえ」と聞けるんだけど2ループ目の展開からはもうおなかいっぱいになってきちゃうんだよなぁ。それに「TECHNODERUCK」に収録されている曲は、聞きながらリスナーが好きなパートを歌えるっていうのが少ないので、ライブ会場でお客さんと演奏メンバーが一体になって盛り上がるには不適当なんだなあ。

 っで驚いたことに!

 私の右隣の男、斜め左前の男、二人左の女は大音量のホールの中で眠り始めてしまったのだ! はは、眠り始めている人がいるねっと連れに話しかけると、ズガーン、連れまで寝ている! ではないか。

 観察していると、寝に入ってしまう人は曲の1ループまではおきているので、多分上の私の感想に近い心理が働き、2ループ目から退屈になってきてしまっているみたい。

 アンコールはRYZEEN、TECHNOPOLISHなどのO.M.Y.の人気曲。さすがにこういうポップな曲調では眠る人はいなく、ライブ開始以来の最高の盛り上がりを見せた。みんなの顔に笑顔が戻ってよかったよかった、と思って後ろの席を何気なく見るとごっそりいなくなってる。おろろ、私の後ろのお客達はアンコールの声が始まった時に帰っちゃったみたい。あーあ。

 うーむ。やっぱりTECHODERUCKの曲は、メドレーかなんかでかるく切り上げて、こういう人気曲をやった方がよかったんじゃないかなぁ。または合間合間に人気曲挟むとか。

 それと、O.M.Y.のメンバー...ライブ始まってから終わるまで一言もしゃべらず。世にも珍しいM.C.一切なしのライブだったのだ。

 「どーも。こんにちはO.M.Y.のXXXです。」

 みたいな挨拶もメンバー紹介もなし。当然トークはなし(ボーカルパートはボコーダーとか拡声器(!)とかつかって歌ってたけど)。今回のライブを一言で表現するなら...

 現れて、演奏して、去っていった

 まるで昨日の季節外れの台風みたいな連中だった。演奏のうまいへた、音楽のいいわるい、はともかくせっかくお客さんと一体になれるライブ会場でこの仕打ちはないよなぁ。こりゃ寝出す人が出てきも無理もない...かも。

 次回ライブやるときは構成を考えたほうがいいなぁ、と素人ながら思ったのであった。

6/22 続O.M.Y.の話

 読者の森さんの話によるとY.M.O.のライブでもM.C.がなかったからではないかとの意見。

6/25 ペーパー・ドライバーコースの話

  京王線の駅のホームにて発見した自動車教習所の看板にふとくだらない疑問を思いついた。

 「普通自動車コース」「オートマコース」「中型二輪コース」「大型二輪コース」「特殊車両コース」「ペーパードライバーコース」

 これら全部、どうやらこの教習所で取り扱っている学習コースらしいのだが、この中に1つだけ意味的におかしいのがあると思わない?

 そう。最後の「ペーパードライバーコース」。

 他のはコース名に最終的に自分が乗りこなしたい車両、つまり「自分の目標」が掲げてある。だから、ここに「ペーパードライバー」とあるっていうことは、つまり「ろくに運転できないけど、とりあえず免許だけとっておこうと思っている人」養成コースってことにならないか。

 空想癖のある私はクラッシュ続出の教習コースを思い起こし目的地に着くまで終始電車の中で笑いを堪えていた。一番変なのは私か。


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Music : "SPRING/GS" By Z.Nishikawa