CELLプロセッサの発表があるということで例年に比べて日本のプレスの参加も多かったようだ。

2月6日〜2月10日 ISSCC2005の話

 今年、初めてISSCC(International Solid-State Circuits Conference)に行ってきた。

 ISSCCは半導体の設計と実装に関する学会で、かなりお堅い内容なのだが、Playstation3のCPUとしての認知度が高い、あのCELLプロセッサが初お披露目と言うことで行ってみた。

 会場となったのはサンフランシスコ市内のマリオットホテルの地下の宴会場。この地下フロアをすべて借り切って行われたのだが、なにしろ内容が内容だけに、非常に男性密度が高いのだ。

 どのくらいかって、女性トイレに「臨時用に男性用とします」という貼り紙が貼られているくらいなのだ。

 

 レポートは、ASCII24に寄稿した。

【ISSCC 2005 Vol.1】ソニー、IBM、東芝ら、Cellプロセッサーを発表――PowerPC 970+8基の128bit SIMD RISC CPUのマルチコアCPU

 なぜか結構極秘裏に行われたCELLプロセッサの発表会。

 名簿リストに載っていないと参加できないという厳しさだったが、なんとかSCEJ広報様の計らいで参加することができた。ありがたや。

 普通の記者発表と違い、SCE、IBM、東芝の実際のコアアーキテクトが壇上に上がって発表するというスタイルでなかなか興味深かった。

 たとえば、写真でCELLプロセッサを掲げるジム・ケールはPower4のアーキテクトも務めた人物。

【ISSCC 2005 Vol.2】CellプロセッサーとPS2のCPU“Emotion Engine”との大きな違いとは?――ISSCCのセッションから読み解くCellプロセッサーの詳細

 CELLプロセッサのブロックダイアグラムが公開され、その内部アーキテクチャがついに明らかとなった。

 最近、CPUの世界ではトレンドとなっている「マルチコアCPU」の1種なのだが、CELLプロセッサは同一コアを複数実装した対称型ではなく、1基のメインプロセッサと8基のSIMDプロセッサからなる非対称型であった。

 これは丁度、Playstation2のCPU、Emotion Engineを連想させる。

 動作クロックは、実験室レベルで4GHz超という事実も発表。

 実際の製品でも3GHz前後から4.0GHzの動作クロックで出てくる模様。

 アーキテクチャ自体がセンセーショナルなネタの宝庫という感じだ。

【ISSCC 2005 Vol.3】Cellの中枢“SPE”の仕組みと、気になるPlayStation3の消費電力――ISSCCのセッションから読み解くCellプロセッサーの詳細 その2

 CELLプロセッサ内に搭載される8基の128ビットSIMDプロセッサ(SPE)の仕様の詳細が明らかとなった。

 FP32×4のベクトル演算に特化したデザインはプログラマブルシェーダ的だが、プログラマビリティはそのレベルのかなり上を行く。

 DMA経由となるが、メインメモリへのアクセシビリティも備えているため、良い意味でEmotionEngineのVUの時とはかなり違った使い勝手になりそう。

 とはいっても実際のプログラム実行自体は各SPEに内蔵される256kBのインターナルメモリの上で行われなければならない…という特殊性はVUによく似ているのだが。

【ISSCC 2005 Vol.4】幻に終わったCell版GPUとは?――Cellプロセッサーから見えてくるPlayStation3の姿 その1

 今回のISSCCで発表されたCELLプロセッサの情報からPlaystation3の姿を想像してみた。

 ゲーム機のCPUとして、8基のSPEのすべてを汎用用途に開放するというのはあまりにもオーバーキルだ。ということで、これはプログラマブル頂点シェーダとして活用させるのではないかという予測を立ててみた。

 Playstation3ではNVIDIAのグラフィックスプロセッサが載ることは既に発表されているが、コスト的な問題から、メインメモリをシェアするUMA方式になるはずで、そう考えるとなおさらSPEでプログラマブル頂点シェーダをエミュレーションさせるというソリューションには現実味が感じられてくる。

【ISSCC 2005 Vol.5】SPEが実現するPlayStation3の可能性とは――Cellプロセッサーから見えてくるPlayStation3の姿 その2

 Playstation3のGPUとしては、NVIDIAデザインの最新コアが載ってくることは明かで、そうなれば、グラフィックスのパイプライン自体も現行のPCアーキテクチャのそれよりも一世代新しいものになる。

 そこで、LonghornのWGFにて採用が決まっている次世代グラフィックスパイプラインのテッセレータやジオメトリシェーダまでもSPEでやらせるのではないかという大胆予想をしてみた。

 (左の図はクリックすると拡大されます)

【ISSCC 2005 Vol.6】“低消費電力でハイパフォーマンス”がキーワードとなったこれからのプロセッサー――ISSCC 2005セッションレポート

 CELLプロセッサ以外のセッションの情報をまとめた内容。

 世界最速のスーパーコンピュータ「BlueGene/L」は組み込み向けのPowerPC440ベースであると言うことは広く知られているところだが、実際にはPowerPC440コアを2基1CPUにまとめ、さらにそれぞれにデュアルパイプラインのFPUを追加したカスタマイズCPUであった。

 そしてIA64のMontecitoコアのItanium2の省電力のための工夫を詳細に解説したセッションも。

 MontecitoではMadisonコアベースのItanium2を2基、1チップに搭載したマルチコアCPU。単純に90nmにシュリンクしただけでこれをやるとその消費電力は300Wになってしまう。Foxtonテクノロジーで100W付近まで下げましたというお話がメインの内容だったのだが、17億トランジスタという事実の方がショッキングであった。

2月某日 DivXの話

 DivXって私はずっと「でぃ・びぃ・っ・くす」という風に発音していたのだが、オフィシャルサイトによれば正確には「でい・う゛え・つ・くす」と発音するんですな。

 なんかもの食べているときに発音すると、口の中から全部出てきちゃいそうでイヤな感じ。

 


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