今年のCESのキーワードは「HD:High Definition」だった。

1月5日〜1月10日 International CES 2005の話

 International CES 2005の取材へ行ってきた。今年もAV WATCHチームの一員として。

 取材そのものは、まぁ、例年通りうまく行ったのだが、それ以外でトラブルが続出。

 まず、行きではアメリカ国内線の飛行機が大幅遅刻。飛行場に足止めされること6時間。原因は、北米大陸全域で巻き起こっている異常気象で、だとか。実際、カリフォルニア州は史上空前の大雨に見舞われたし、アリゾナ州のフェニックスではトルネードが吹き荒れたとか。

 ラスベガスはどうだったかというと、なんとあの万年乾燥気味のネバダ砂漠のラスベガスに雪が降るという異常気象ぶり。雪はさすがに積もることはなく"みぞれ"となったが、とはいえ、ラスベガスとは思えない冷え込みで地元の人は天変地異だと大騒ぎであった。

 困るのはそうした雪や大雨を想定していないラスベガスの交通機関。道は大渋滞。アメリカの道路はアスファルトじゃなくてコンクリのところも多いので、滑っての車同士の衝突も結構多かった。

 我々AV WATCH取材チームが、ひどい目にあったのはホテルからCES会場のコンベンションセンターまでの公共交通機関であるモノレール。

 2004年7月に開通したこのモノレールはコンベンションセンターまでの交通緩和の"期待の星"として登場したもの。

 もともとラッシュアワーで車内を詰めて乗るという文化のないアメリカでは結構スキマのある状態でも「もう乗れないよ」と中にいる乗客が乗車を拒否する。そんなわけで前の駅でほぼ満車(というか乗車拒否状態)となってしまうために、来る列車、来る列車、我々の待つ駅からはずうっと誰も乗れず状態。けど、我々のいるプラットホームにも人はどんどんやってくるので、ホーム上にはどんどん人が溢れだす。

ラスベガスでは連日、雪や雨、みぞれが降り注いだ。会期中、太陽が顔を見せた日の方が少なかったような。

 結局1時間も雪吹きっさらしの中、ブルブル震えながら、ドアが開いては閉まって走り去っていくモノレールを虚しく見送るだけ。このモノレール、わずか10数キロの運行区間のくせに3ドル(約310円)も取る。なんだか、3ドル払って、通過するモノレールを眺めるショーか何かのように思えてきて、かなりのローテンションに貶められた。最後は、各列車、各駅で乗客を均等に乗せるような方針が取られ解決を見たが、結局、午前中に予定していた取材には間に合わず。

 さてさて。なんでもラスベガス住民の間では

「今ラスベガスで一番、おもしろおかしいコメディショーはなんだか知ってるかい?」

「そりゃあ、あのモノレールさ」

というアメリカンジョークが流行っているそうで(マジ)。

 実際、7月に運行開始直後、9月には何度も車輪脱落や部品落下を来たし、運行中止が何度も起こっている。 ラスベガス界の三菱自動車といわれているとかいないとか(これはウソ)

 レポートは以下の通り。やはり、今年のキーワードは「HD:High Definition」ということで映像機器関係のネタは潤沢でした。

2005 International CES ビル・ゲイツ基調講演レポート
〜デジタル時代は成熟期へ向かうか?〜
 −進化するMCEとIPネットワークを使ったHD映像配信

 毎年恒例のビル・ゲイツ基調講演。今年はなぜか終始お笑いムードで進む。内容自体は毎年言い続けている来るべきデジタル時代のお話。

 ものすごく簡略して要約すればマイクロソフトはWindows Media Centerをこれからも頑張りますという内容。

 Xbox2のお話はなし。新Windowsの話もなし。

 レポートには書いてないけど、デモで不具合が連発。閉幕した後、ゲイツ様が激昂したかどうかは不明

西川善司の大画面☆マニア 【CES特別編】
2005年の「大画面は世界一選手権」の勝者は?
【Samsung/LG電子編】世界最大の102型プラズマ、など

 毎年恒例のサムスンとLG電子の大画面対決は、今年も大きさだけはサムスンの圧勝。

 いつも数インチ差で遅れをとるLG電子は「市場投入したものとしては最大」という「条件付き最大」で製品をアピール。

 賛否両論はあるものの、やっぱり、サムスンの102インチPDPはショーの目玉としてはよかったんじゃないだろうか。

西川善司の大画面☆マニア
日本メーカー6社「3LCDグループ」結成
「1DLPに勝つ。我々は挑戦を受けて立つ」と勝利宣言

 3板式透過型液晶(3LCD)プロジェクションシステムを推進化するプロモーショングループ、読んでそのままの「3LCD」が発足。これからは加盟企業の3LCDシステムにはこの3LCDロゴシールが付くことになる。

 キャッチコピーは「3LCDは1DLPに勝つ。我々は挑戦を受けて立つ(3LCD Color Beats 1DLP. I took the Challenge!)」となかなかどうして、かなりアグレッシブだ。

西川善司の大画面☆マニア
720p相当のチップで1080p表示する新DLP方式が登場!
−3DLPを民生向けに展開する予定は全くない

 対するDLPを推進する、DLPお家元のTexas Instrumentsは、3LCDに一足お先に低コストで1920x1080ドットのフルHD解像度を実現する新技術「Smooth Picture」をアピール。単板式DLP(1DLP)はますます勢いを付けることになるのか。

 キャッチコピーも「1は3よりもいいものだ(1 IS BETTER THAN 3)」と3LCDを暗に批判する内容で挑戦的だ。

 なお、3チップDMDによる3板式DLPは今後も当面はプロフェッショナル向け、業務用として訴求していく方針も明らかにした。つまり当分、3DLPは高いままと言うこと。これについてはちょっと残念。

西川善司の大画面☆マニア
フルHD/1080pリアル対応の普及はリアプロから!
〜 70インチのフルHD/1080pのD-ILAリアプロテレビなど 〜

 1920x1080ドットのフルHD解像度の映像機器が今年以降どんどん登場してくるが、メインストリーム向けとして期待されているのはやはりコストパフォーマンスが高いリアプロTV。

 ビクターはフルHDのD-ILAパネルを使った70インチモデルを投入してくるし、AQUOSのシャープ、VIERAの松下でさえ、普及価格帯にはリアプロを投入することを発表。

 部屋が明るくて狭い日本ではちょっぴり暗くて大きいリアプロは不適合と言うことで、どのメーカーでも発売は消極的。

 リアプロ、もうちょっと認知度上がってもいいとおもうんだけどなぁ。

西川善司の大画面☆マニア
Philips、液晶TVから残像が消える最新技術
−手のひらサイズのLED-DLPプロジェクタなど

 実はフィリップスはランプメーカーとしても大手で、プロジェクタで使われているUHPランプはフィリップス製。

 日本では製品メーカーとしては無名でも、フィリップスの部品は結構日本の製品にも入ってきているわけだが、そのフィリップスが、液晶バックライトシステムでユニークなシステムを発表。日本製液晶TVにもライセンスしていくことをほのめかしていたわけだが、ビクターのあれとかも同種の技術なのかな。

 その他、LED光源ブームがフロントプロジェクタにまで波及した話題を取り扱ってみた。光源をLEDにするとプロジェクタは手に乗ってしまうほど小さくできると言うお話。

2005 International CESレポート 【サラウンド規格編】
Blu-ray/HD DVD時代のドルビー/DTSの新フォーマット

 次世代DVD規格戦争が進行すれば、当然そのサウンドトラックの標準仕様獲得の戦いも並行して行われるわけで。

 次世代DVDでは容量とビットレートが増加するのでそれに合わせてサウンドトラックも高音質かつ多チャンネルに。

 そんなわけで、DolbyはDolbyDigitalPlusを発表、DTSはDTS-HDを発表した。

 THXは、フォーマット屋とは違うので、そういう話には絡んでこないものの、今年は、THXセレクトの新バージョン、THXセレクト2モードを発表した。

1月某日 セレブになりたい話

 某所に初詣に出かけた際に見つけたおもしろ絵馬。

「セレブになれますように」 今時っちゃあ今時な願いだが。

私が神様ならば最も無視したくなる願い事かと。

 

神ならずとも、かなりの高確率で合格は難しいと予言できるわけだが、まぁ、だからこそ、リアルな神頼みということになるわけで。

 

神頼みで誤記を黒塗りつぶしはいかがなものかと。 

あと、最初のも、これもそうだけど、絵馬って、一応、最初に建前できれいごといって後半に本音…というパターンが目立っていましたな。なかなかの人間模様かと。

 

「今年ぴく」と書いてしまって後から「今年ぴく」と直しているかなりダメダメオーラ爆裂な絵馬。

「る」を「ろ」に直しているのは理解できるにしても「を」を「は」に直している意図が分からない。「今年をよろしく」って誰に何を託しているのか。「今年よろしく」って、去年までどうでもよかっただれに何を頼みたいのか。「を」を「は」に直すようなディテールに凝る以前に、「ぴ」を「し」に直した方がよくはないか。

そもそも、これ、願い事として成立しているかどうかもグレーゾーンだ。

全知全能な神にとっても、どう叶えるべきか悩みそうな内容である。

単純な割にはなかなか突っ込みどころの多い手強い作品である。


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