4月1日 東京ゲームショー2000の話

 東京ゲームショーに行って来た(実際に行ったのはビジネスデーの3月31日)。

かしこまったレポートはインプレスのモバイルセントラルに載っけているので興味のある人はどーぞ。

http://www.watch.impress.co.jp/mobile/news/2000/03/31/tgs4.htm

http://www.watch.impress.co.jp/mobile/news/2000/04/03/tgs5.htm

 会場で見かけたエイリアン達はこんなやつら。

 

 

 

 

 まずはSCEIの連中。犬っころのパラッパはサルが出るなら俺はでないと出演をドタキャン(ウソ)。ここぞとばかりにバンディクーが大ハッスル。紫色の化け物は「スパイロ×スパークス トンでもツアーズ」のスパイロ。サルとスパイロはバンディクーのハッスルぶりに嫌気がさしてかなにやら2人でひそひそ話。パラッパ,このままでいいのか。
 なんだかわかんないが地べたに寝ていた化け物。やる気がないのか,酔っぱらったのか…。

 写真はやさしい通行人が手をさしのべている瞬間。

 ウンコと4本指のお化けのカップル。2人は恋人同士のようだ。しかし,ウンコと4本指…お互いのどんなところに惹かれたのだろうか…。聞きたくもないけど。
 SDガンダム。見た目はかっこいいが,その歩きにくさを全身全霊でアピールしていた。この格好で引っ越しの手伝いなんかに行ったらきっと追い帰されるに違いない。
 カプコンの対戦格闘ゲーム「超鋼戦記キカイオー」のキカイオー。身長約3m。一体どんなヤツが中に入っているのかと思ってしばらく見ていたのだがいっこうに動き出さない。え?無人なの?そんな大男が見つからなかったって?肩車でもして2人で中に入ればいいじゃんかー。

 ちなみにここにこのキカイオーの製作過程が掲載されています。

 

 まともな話題も少し。

 写真はフロムソフトウェアの「アーマードコア2(AC2)」。「アーマードコアってファンタ妻だとかなんとかってたくさんタイトルが出てるのにまだ2だったんだー」というツッコミはひとまず置いておくとして,AC2はとにかくPS2初の通信対戦ゲームになる模様。使用するインターフェースはなんとiLINK!。ひとまずは1対1の対戦になるらしい。

 発売は夏頃の予定らしいが,ショーではすでにiLINK接続された二台のPS2を使っての対戦が楽しめるようになっていた。

 アトラスのブースでデモしていた,PS2を5台使った通信対戦ゲーム。無根拠の推測だがLANカードかなんかを使って接続している模様。5台のPS2のうち4台が各プレイヤー用に割り当てられ,残り一台はプレイの模様を第三者の視点で捉えた映像を流すのに使われていた。もしかしたらこの一台はサーバー用途で使われていたのかな。

 ゲーム自体は4プレイヤーが入り乱れて戦い合うアクションタイプ。ちなみにこのゲームの発売の予定はなく,あくまで「実験プログラム」だと担当者はいっていた。個人的な勝手な想像だが,ゲームセンターのようなアトラクション施設用システムの試作に思われた。

 今回のゲームショーの主役はやはりPS2だったわけだが,ドリームキャスト陣営もただ指をくわえていたわけじゃない。さすがにネットワーク環境に関しては約1年先行しているだけあり,関連テクノロジーの展示はPS2陣営を圧倒していた。

 写真上はコンシューマゲーム用としては世界初のオンラインRPGである「ファンタシースターオンライン」の画面。開発はソニックチームだそうな。PS2もファイナルファンタジーシリーズがオンラインに対応するという話が出ているが,あくま企画が立ち上がったレベル。DC陣営は年内にサービス開始を念頭に具体的に動き始めている模様だ。

 下2つの写真はセガブースで展示されていたその証拠とも言えるDC向け通信関連拡張デバイス群。

 真ん中はCATV用ケーブルモデムなどと接続するためのイーサネットモジュール。内蔵モデムと差し替えて使うことになるらしい。あくまで参考出品なので正体は不明だが,もしかしたら専用線環境でもDCが使えるようになるかもしれない。

 一番下の写真はDCとTA/DSUを接続した一例。要するに近い将来DCはISDN回線に接続できるようになる…ということのようだ。

 まぁ,面白いゲームが出てくればPS2でもDCでも海豚でもなんでもいいんだが,ただ,今回のショーを見る限りではPS2のソフトラインナップの方が充実しているかなぁ…という手応え。ビッグメーカーのビッグタイトルはほとんどがPS2用。ここを見ても分かるが,DCの発売予定ゲームってほとんどがセガのものばかりなのよね。まぁ,それが全部面白いものばかりならばいいんだけど,うーん,うーん…。

 DCって何がどうだめなんだろうね。

4月3日 CDが届いた話

 先月紹介したいかしたフュージョンのCDをオンライン販売で買ったらちゃんと届いた。日本まで送料込みで$6.95(約900円)。全9曲入り。いやー素晴らしい。特にトラック6「Goin' Back Home」はしびれました。

 このCD,ひさびさのお勧め度10です。

4月4日 業務縮小の話

 満開製作所

・業務縮小

・X68000関連の製品開発及び販売の停止

・オリジナルアーキテクチャマシン「零式」の開発凍結

を決定したそうだ。非常に残念だ。くわしくは,ここを参照されたし。

 それと,突然その筋から入ってきたニュース。あのSoundBlasterLive!と双璧をなすダイアモンドのサウンドカード「MonsterSoundMX300」のサウンドチップVortexのメーカーであり,立体音響技術A3Dの開発メーカーとしても知られるAurealの役員が全員逃げちゃったらしい。ここには解雇とでているが…。このニュースが流れたときクリエイティヴは小躍りをしていたとかいないとか。

 MX300カードを販売しているダイアモンドはどうしてるかというと…あれ? 後継の「MonsterSoundMX400」はいつのまにかS3のチップになってるじゃんかー。まぁS3買収したんだから順当な成り行きではあるんだが…。しかもA3Dじゃなくてsensauraとかいう別のテクノロジー採用しているし。「MonsterSound=A3D」という構図はいつの間にか立ち消えていたのでした…。

4月5日 デザイン酷似の話

 SCEIが「おたくのスピーカーアンプのデザイン,PS2に似てまっせ」と訴えを起こした。ニュース自体はここなんかをどうぞ。

 問題のスピーカーは米ギャラント社PST。写真右下のDolbyDigitalデコーダーアンプがPS2そっくりだっていうんだけど,PS2自体だってNeXTとかX680x0compactのパクリみたいな形してるくせによくいえるなぁ。まぁ,ソニーはデザイン研があるし,いちおうあそこで金かけて作ったデザインだから,ライセンス料せしめたろってことなのかなあ。

 そりゃあ,ドリームキャスト2とか海豚がこのデザインだったらSCEIが金切り声あげてどたばた走り回るのは分かるけど,アンプだからね。

 AppleがSOTECのe-one見て卒倒したのも同じコンピュータというくくりだからなわけで。PSTをPS2と間違えて買われたら困るってことなのかな。

 それを言ったらさ,Appleはブルベリーのスケルトンのマウスを作ったマウスメーカーとかUSBハブメーカー100社くらい訴えなきゃならんぞ。あれは「どうせ周辺機器揃えるならば統一したデザインのなんてどう?」っていう善意の提案だったと思うんだけど。まぁギャラント社の場合はわかんないけどさ。

 このPST,PS2と並べて置いたらかっこいいかも…という期待感もあったし,またサヴウーファ含む6個のスピーカーと光デジタル入力端子付きデコーダーアンプがセットになって定価29,800円という低価格設定も歓迎されていただけに,このSCEIの行動に対するユーザーの反撥は結構大きいみたい。

 DOS/V magazine4月27日号で,オーディオ系の特集が組まれる予定で,私が書くことになっているんだけども,今日電話があって「PST,記事にできなくなりましたのでモノ送れません」との報告を受けました。とほほほ。実物見たかったなぁ。

4月6日 DVDオーディオの話

 へぇ。いつのまにかDVDオーディオって発売延期になっていたんだなぁ。

http://www.panasonic.co.jp/corp/news/official.data/data.dir/jn991201-3/jn991201-3.html

4月10日 PS2のRGBケーブル出荷中止の話

http://www.yomiuri.co.jp/topa/20000411it02.htm

 PS2を使えばRGB出力経由でDVDがダビングできる…こりゃ問題だというお話。

この記事によればSCEは21ピンRGBケーブルの出荷をやめたらしい。ゲゲ,大迷惑。

この記事の中の「特殊機器」って要するにダウンスキャンコンバータでしょ。

ダビングったってアナログに落ちてちゃ意味ないじゃん。

んなこといったらPCでDVD再生するのもおなじじゃかんかー?

もしかしたらマルチAVケーブル(VMC-AVM250)も出荷中止?

そのうちパソコンのRGBケーブルも出荷中止か。

いやーーん

4月18日 勘違い日本,ここに極まれり,の話

 新聞のテレビ番組欄に「バトルマスターUSAサムライ伝(原題:AMERICAN SAMURAI)」という変なタイトルの映画を発見。当然録画。先日見たのであるがショー・コスギの忍者ものに優るとも劣らぬクオリティの「勘違い日本ワールド」を展開していた。とにかく一見の価値はある。

 産まれたばかりの赤ちゃんを抱き抱えたアメリカ人夫妻がセスナ機で日本を遊覧飛行。ところが急にエンジントラブル。ここはトーキョーから270kmも離れた山奥。ああ,どうすればいいのだ(無線で連絡しろ)。あえなく飛行機は急降下…山奥に墜落。かくして夫妻とパイロットは死亡。赤ちゃんは奇跡的に生き延びることになる。

 この赤ちゃんは山奥に住むサムライの末裔であるサンガ家(どういう名字だ?)の頭首に発見され大事に育てられることになる(こらー,捜索隊はどうしたー。サンガー育てる前に届けろー)。

 この赤ちゃんはなぜか「アンドリュー」と名付けられ(そういう山奥の未開の土地の人間がどうしてそんなしゃれた名前を付けられたのかが疑問だが),サンガの実の息子であるケンジローと共にサムライの修行を積むことになる。マジメで優秀なアンドリューは上達が早く,サムライとしての剣術の実力はケンジローを上回ることになり,サンガ家の跡取りとしてはアンドリューが抜擢されてしまう。サンガ家,伝家の宝刀はアンドリューが引き継ぐことになった。

 これに腹を立てたケンジローは父に対して直談判をする。

ケンジロー「父上,こんなガイジーンを後継者に選ぶなんて納得がいきませんっ」(ガイジーンは差別用語らしい。)

サンガ父「そんなことをいっているからお前はダメなのだ。」

ケンジロー「言葉が過ぎました。しかし,それならば,もう,私はヤクーザになります。実はもうヤクーザと杯を交わしたのです」

こう言い放つとケンジローは指を出し,ドスで小指を切り落とそうとする(ヤクーザになるためには一緒に酒を飲んだあと小指を切り落とさなければならないらしい)。父の制止を聞かず小指を切り落とすケンジロー。ケンジローはかくしてヤクーザになってしまったのであった。そして呪いの言葉を吐き捨て姿を消してしまう。

 数年後のアメリカに舞台が移るのであるが,アンドリューは日本で育てられたため,部屋の中は,そりゃーもう日本風。しかも変な!

 受け継いだ伝家の宝刀は暖炉の上に額縁に入れて飾ってある。その中にはなにやら刺繍だかなんかで日本語が添えてある。

 「日本刀鑑賞」

 「試し切り」

両脇には相撲の力士の置物。彼は幼少の頃から日本で育てられたにもかかわらず,そのセンスは確かに日本人離れしたガイジーンのそれそのものであった。

 しかし,この暖炉の上の宝刀は何者かの手によって盗み出されてしまう。その後トルコのインスタンブールで謎の連続殺人事件が発生する。新聞記者をしていたアンドリューはその事件の写真を入手,それを見るなり怒濤のような戦慄を覚えるのであった。

 「この刀の切り口はケンジローのものだっ」

アンドリューはカメラマン助手のブロンド美人とトルコに旅立ち事件の捜査をすることになるが,まあいろいろあって,謎の地下組織によって2人は捉えられてしまい,ルール無用の殺人武道大会に参加を強要される。「参加しなければこの女は殺す」(お約束である)。

 この武道大会のチャンピオンとして君臨していたのはやはりケンジローであった(いうまでもなく)。ケンジローはヤクーザとして暗殺業にも手を染めていたのだ(ヤクーザとは怖いものよ)

 武道大会には世界中の様々な剣術,格闘術の使い手が結集しており,アンドリューは不安に包まれる。その時,頭の奥でお師匠様の声が鳴り響く。

「五感を研ぎ澄ますのじゃ。サムライは全ての五感を駆使しこれを極め,ついには第六感を身につける」(何を教えていたんだサンガ家では!?)

「第六感を身につけた真のサムライは物事の先が見えるようになり,鐘が打たれる前にその音を聞くことすら出来るようになるのじゃ」(それは完全な幻聴です)

 アンドリューは勝利を確信してアリーナに向かうのであるが,まぁ,その続きと結末は各自で見て欲しい。

 ソバで相手を窒息死させるカブキマンとか,テニスコートで対峙して土下座をする般若面の忍者達が登場するショー・コスギの「THE REVENGE OF NINJA」もすごかったがこの映画もかなりキている作品だ。

4月某日 AC-xの話

 DOS/V magazineで,パソコン誌としては珍しいオーディオな特集が組まれたので大喜びで参加。いくつか漏れた話題をここでも紹介しちゃおう(DOS/V magazine連載版「日々是好日日記」とほぼ同じ内容)

 まずAC-xの話から。

 DolbyDigitalはAC3と言うけれど,「なんでなの」と思った人もいると思う。

 ACとはAudio Codecの略で,すなわち音声の符号化様式の意味になる。Dolbyでは自社で開発した音声符号化技術に世代番号を付けており,AC3はAudio Codec3ということで,3番目の音声符号化様式ということだ。

 「じゃあAC1やAC2ってのもあるの?」という話になるのだが,あるのである。

 AC1は1984年に発表になった音声符号化様式で,衛星通信/放送や有線通信/放送のデジタル音声データ伝送手段として採用された。実際にどんなものかというと音声波形の生サンプリング(PCM)を時間領域で圧縮する技術だ。例えば16ビットPCMでは1サンプリングデータあたり16ビットのデータ量をとるがこれをより小さいビット量で表現しましょう…というアプローチ。こうしたPCMデータを効率よく圧縮符号化する技術としては,PCMデータを差分表現するΔPCM(デルタPCM)というのがある。さらに,それまでのΔPCMの変化傾向から次のΔPCM値を予測しその予測値との実際のΔPCM値との誤差を符号化していくADPCMという音声符号化様式がある。ご存じソニー「Playstation2」とかシャープ「X680x0」のPCM音源はこの方式を採用しているが,AC1はこれをDolbyが独自に拡張したものだ。

 AC2は時間領域ではなく周波数領域でデジタル音声データを圧縮する音声符号化様式だ。音響心理学に基づいたマスキング効果(ある特定の条件下では特定の音が聞こえなくなるという人間の耳の特性)を利用して重要な周波数成分には多くのビット数を,どうでもいい帯域には少ないビット数を割り当てる,典型的な適応型の可変ビットレート符号化技術だったりする。「周波数領域で圧縮?…マスキング効果?…っていうとMP3とかみたいなもの…?」と思った人も多いと思うが,アプローチとしてはまさしく同じようなもので,実際この手法はここ近年の流行なのだ。

 AC2も,1990年頃,やはり衛星,有線といったプロフェッショナルな現場で活用された。

 AC2は単一CHに対する音声符号化技術だったが,AC3はいってみればこの技術を複数チャンネル,具体的には6(5.1)CHに適用したものだといえる。AC1,AC2と放送用の技術というイメージが色濃かったが,実際AC3もCATV用とか次世代デジタルTV用で用いられる音声符号化技術となることを念頭に開発されたようだ。AC3=DVDビデオというのはあとで我々が作り上げたイメージなわけだ。

 AC3ではチャンネル間マスキング効果や,類似するチャンネル間の情報を共有(カップリング)させたりしてAC2以上に圧縮効果を向上させている。こうした工夫の恩恵を受けることで,ディスクリート6CHという大規模なチャンネル構成にもかかわらず,ビットレートは320〜384kBpsに抑えられているのだ。

 右はAC3のエンコーダのブロックダイアグラム図。

 PS2では将来的にゲームでAC3を使うといってるけど,リアルタイムゲームで実現するにはこのエンコーダをリアルタイムで実装しなければならないことになる。はたして実現できるのだろうか…。

 4月某日 THXの話

 たまに映画などでTHXというキーワードを目にすることがある。レザーディスクなんかを再生しても時々見かける。

 THXとはDolbyDigitalとかDTSみたいなサラウンドサウンド規格なのかなーと思っている人も多いと思うが,実はそうではない。一種の品質規格のようなもの…と捉えるとわかりやすい。例えば「THXシアター」とは「無音時,劇場外の騒音がどの程度聞こえるか」「スクリーンに対する映写機の位置が適切か」「最後列席の視野角度が26°〜30°以内か」「THX認定の機材を導入しているか」といった厳しい条件を満たした劇場のみに認定される称号となっている。

 LDソフトやVHSソフトで見られる「THX」は多くの場合「THXデジタルマスター」の称号である場合が多い。これはそのソフトのマスターテープ(ディスク)がTHXデジタルマスタリング規格をクリアして制作された事を意味することになる。

 AV機器も機種によって「THX」のロゴを持ったものがあるが,これもTHXにその画質と音質の再現性を認められた証…と考えることができる。

 ちなみにこのTHXの名付け親は,大ヒットSF映画「スターウォーズ」の生みの親として知られるジョージ・ルーカス監督だ。THXはルーカスのデビュー作品「THX1138」からとったものといわれている。もともとは自分の作品を思惑通りに完璧に再現できるシステムの普及を目指してはじめたプロジェクトのようだ。THXに関連した情報はTHXのWebサイトにて入手可能なので興味のある人は見てみるといい。

 ところで,スターウォーズ,当分DVD化しないって本当かね? しかも今の新3部作が完結するまでとかいってるらしいが。本当かな。いつまでLDで引っ張る気なんだろう?


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