「人喰いの大鷲トリコ」発売、おめでとうございます。そしてありがとうございます。

IMG_20161207_025728.jpg12月某日、伝説のゲームクリエイター、上田文人氏から直筆のメッセージ付きで贈り物が届きました。
ついに、この日が来たのです。
おめでとうございます。
そしてサンプルの方、ありがとうございます。
とても感慨深いですね。

上田文人氏はゲームクリエイターですが、ご自身の出自はアーティストでありアニメーターでもあることから、独特な世界観を構築するだけでなく、「その世界のビジュアル」、そして「その世界で生きる者達の動き」に関しても独創的なアイディアを盛り込んでいます。そしてそうしたアイディアを実現するために、その時代のハードウェアの限界を超える必要が毎回出てきてしまうのでした。

 第一作の「ICO」はもともと初代PSで制作が進められていた作品でした。この作品はNPCを守りながら戦いつつ、ゲーム世界の謎(パズル)に挑む、というゲームメカニクスが主題ですが、圧倒的なスケール感とビジュアル表現を実現するのには初代PSは性能が足りませんでした。その後に登場した次世代機のPS2でも性能が足りないくらいでしたが(笑)、PS2の限界を超える形で完成。PS2時代に疑似HDR的ビジュアル表現を具現化し、さらにセルフシャドウ付きの影表現をも実践していたのでした。この作品以降、他のPS2作品でもHDR表現が流行します。そして、最新のPS4で今年、やっと本物のHDR表現が可能になったのです。いわば、上田氏は、初代PSの時代から15年先取りしてゲームの映像表現にHDR的手法を取り入れようとする発想があったというわけです。おそろしや。



 そして第二作「ワンダと巨像」。この作品以前は、デカいボスはその見た目がでかいだけで「弱点を撃て!」みたいなものが主流でした。しかし、「ワンダと巨像」では動き回る巨大な敵を、よじ登って直接攻撃するという斬新なゲームメカニクスが導入され、敵と自キャラの体積比1000:1のエピックスケール・インタラクションを実感させられる表現手法を実用化したのでした。この作品で実用化された「アニメーションと物理シミュレーションを統合」させる「加算モーション」の考え方は、後に登場する次世代機のPS3時代の技術を先取りするものでした。また、この作品では、ビルボードパーティクルを頂点単位で疑似ライティングすることで実践する疑似ボリュメトリックレンダリングの実用化、プログラマブルシェーダーがないPS2で疑似ファーシェーダー的表現や、疑似短毛シェーダーの実践などを導入しています。これらを実機に実装したのは開発チーム内の優秀なプログラマ達ですが、その根幹アイディアの多くは上田氏自身の発案によるものです。このあたりの詳細はこちらをどうぞ(下記)

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西川善司の3Dゲームファンのための「ワンダと巨像」グラフィックス講座
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http://game.watch.impress.co.jp/docs/20051207/3dwa.htm

 今作、「人喰いの大鷲トリコ」についての見どころや技術ポイントなどについては、いずれ自分の連載記事等で紹介できたらいいなぁ、と思っています。
 ゲームそのもののインプレッションはこちらで述べていますので興味があれば、どうぞ。

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[E3 2016]「人喰いの大鷲トリコ」をさっそくプレイ。これぞ血統書付きの上田ワールドだ!
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http://www.4gamer.net/games/305/G030592/20160616139/

 そうそう。
 「人喰いの大鷲トリコ」の発売にあたって、ソニーが面白いYouTubeを公開しています。
 実際に発売されることは喜ばしいのに、なぜか、「トリコ・ロス」的な風情が感じられる映像が多くてほんのり切なく、そしてクスっと笑えます。
 我々も、もしかするとこんな気持ちなのかも知れません。


 








 上田氏の過去作である「ICO」「ワンダと巨像」はもともとはPS2向けに発売されたものですが、PS3へのリマスター移植版が発売されていて、なんと3Dテレビ対応となっています。これから上田ワールドを楽しみたい人は、PS3版をプレイするのが良いかと思います。

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