実写版(キムタク版)宇宙戦艦ヤマトの雑感(ネタバレあり)

 「SPACE BATTLESHIP ヤマト」に対する雑感をば。

 めちゃくちゃ忙しい最中ですが、夜遅くにAEONへ、夕飯の買い出しにいったら、AEONの中に入っているしょぼいシネコンが「ナイトショーが1200円で見られる、今から始まりますよ」と勧誘をやっていて、「おお、あれか」と思って見てみることに。

 AEONで買い込んだ生肉とか生野菜とかは車にしまう。もう寒い時期なので腐ることもないだろう。

 昨日、封切られたばかりなのに、劇場には自分を入れて15人くらいしかいなかった。

 と言うことで、この先、バリバリのネタバレで書いてます。
 (映画を見た人のための「あるある」ネタ的な内容です)

yamato_o0640042810426740051.jpg

 結論からいうと良くも悪くも基本的にヤマト世代のおじさん向き映画。

 ただ、作り手の愛というか、ヤマトファンへの愛を感じるので、むしろ昨年公開されたアニメの「宇宙戦艦ヤマト復活篇」よりも、ヤマト世代には好印象を与えるかも。

 まずはキャストインプレッション。

 キムタクは、いつも通りの「ちょ、まてよ」的な演技。いわゆる月9のテンション。もう見る前からそこはみんな分かっているので驚かない。

 緒形直人の島大介は、あまり存在感は無いし、しかも既婚者という設定になったので、森雪争奪戦には最初から不参加という設定(笑)

 その森雪。21世紀らしく、極度のツンデレ設定(笑)
 なので、古代に最初反抗的で、むしろ粗暴。冒頭に古代にグーパン入れてきます

 ただ、「長細い顔立ちに切れ長の目」の黒木メイサは、松本零士の描く女性に近いと思ったりもして、ビジュアル的にはキムタク古代よりもはまり役なのかも、という印象も。

 で、この極度のツンデレの森雪。月9調のキムタク古代の強引なナンパ術的な口説き文句&キス攻撃にやられてしまい、中盤からデレデレ。

 すっかりキムタクの恋人気分な森雪は、前半のツン態度はどこへやら…あろうことかキムタクの戦闘機のコクピットにキスマークを付けたうえに「行ってらっしゃい」の手を振る有様。

 ナンダコレ(笑)

 佐渡先生の酒瓶とネコ抱きスタイルはやらせ感丸出しで、佐渡先生が高島礼子という違和感よりもそっちが目立つ。

 この他、相原通信兵が女に。台詞は多いが、いたのかいなかったのか印象が薄い。

 一方、南部戦闘班副長は、お笑い芸人の東京03のカクタみたいなかんじで印象強し(笑)

 微妙にはまり役だったのが、地球防衛軍指令の藤堂。たぶん、橋爪功が登場して「ああ、いたいた」とアニメ版を思い出すはず(笑)

 西田敏行の徳川機関長、ファンサービスの台詞がいろいろ割り当てられていたが、アニメを知らないのか、アレンジしているのか、西田節な演技。

 山崎努の沖田艦長は、ビジュアル的には「さらば」の土方艦長なかんじだけど、この映画自体が「さらば」mixなストーリーなので意図的な演出かも。

 柳葉俊郎がアニメの大ファンということらしくて、彼が演じる真田さんは、アニメの声マネ的な演技になっていて笑えるし、面白い。

 続いて、ストーリーインプレッション

 第二次世界大戦の戦艦大和に関する描写や説明はなく、メッセージカプセルがイスカンダルから送られる前から、宇宙戦艦ヤマトの開発に着工している設定。戦艦大和をベースにした、というよりは、おそらく沈没船に偽装して新造宇宙船艦を建造していた…という解釈なのかも。

 メッセージカプセルには波動エンジンの設計図とイスカンダルの座標が記録されているという設定は同じ。

 ヤマトは発進して、10分も立たないうちに波動砲を発射して、ワープまでしちゃう、怒濤のファンサービスの連続。

 SF描写やCGはなかなかのクオリティ。環境が暗めで、光源数も少ない「宇宙」という設定に助けられているのかもしれないが。

 船内セットは、予算の少なさが否めず。艦橋も狭いし、艦内描写に出てくるセットは使い回しだし、やたら物語が展開する格納庫デッキはどっかのフェリーの中みたい。印象としてヤマトがとても小さく感じる。

 ワープしまくりで航海はまさに順風満帆なのだが、事件はいつも通常航行の時に起きるのはアニメと同じ。

 廊下でキムタクと再会した旧友が「あ、キムタクさん! ヤマトに乗っていたんですね。ボク、第三艦橋勤務なんですよ。」と挨拶。彼の運命はもう決まっている。こういう死亡フラグ的な台詞は日常生活でも使ってはいけない(笑) 

 第三艦橋が不遇な運命に遭って、やいのやいの言っているそばからドリルミサイル到来。ヤマト世代のファンは、どこに命中するか、最初のワンカットから知っている(笑)

 ヤマト、めでたく波動砲の処女膜、喪失で、ファンサービスの嵐が止まらない。

 ただ、回路逆転でドリルミサイルを敵にお返しするアニメ版の「底抜けお笑い宇宙戦争」的な描写はなく、ヤマトは物語最後までドリルミサイルをぶち込まれたまま航行することに。なんか、ヤマトがかわいそうなかんじに。

 途中・略ってかんじで、目的地到着。

 イスカンダルはアニメのようなガミラスとの双子星ではなく、同一惑星と言う設定に。これはいい解釈かも知れない。

 んで、ガミラス星人はケイ素か、あるいは金属から構成される、社会性昆虫型宇宙人という設定。形状こそ違うが「インディペンデンスデイ」のエイリアンの設定と似ている。しかも、肉体崩壊後は精神結晶体となって人間に寄生も可能という設定。

 イスカンダル星人は、ガミラス星人と同一惑星在住の善玉(?)星人のような設定に変更された。なので、イスカンダル星人もおなじ社会性昆虫型宇宙人のはずだが、劇中に、その星人としての肉体描写は無し。

 ところで、ヤマト世代が泣きそうになるファンサービスが!

 なんと、ガミラス星人に寄生された人間は伊武雅刀、イスカンダル星人に寄生された人間は上田みゆきの声でしゃべるのだ(笑)

 いうまでもなく、前者はアニメ版のデスラー総統の声、後者はスターシャの声だ。

 ただ、この設定のおかけで、劇中、ガミラス星人は男にしか寄生しないし、イスカンダル星人は女にしか寄生しない(笑)

 ちなみに、この寄生演出により、ガミラス星人の目的が明らかになる。

 地球への放射能爆弾攻撃は、ガミラス星人にとって地球を住みやすい環境へと転換させるテラフォーミング作戦であると解説してくれるのだ。確かアニメ版もそんな感じの設定だったような。

 アニメ版の第一クライマックスであったはずの、「硫酸の海でのピンチ」「ガミラス中枢を波動砲で撃て」のシーンは無し。

 ガミラス星/イスカンダル星に到着してからの終盤は「さらば宇宙戦艦ヤマト」の物語へと移行してしまう。

 この展開には驚かされたが、続編は作らないという潔さも感じられる。

 スターシャが精神体でしか姿を現さなかったのは、「さらば」でのテレサ的な役割を担わせたかったからか。

 思い返せば「さらば」調の物語へ移行する伏線は物語序盤からあった。

 ヤマトの乗組員に空間騎兵隊の齋藤がいたのだ。このことにピンと来て「さらば」な展開を序盤から予想できた人は偉いと思う。自分は齋藤の登場は「単なるファンサービス」という予想どまりだった。

 「硫酸の海でのピンチ」「ガミラス中枢を波動砲で撃て」のシーンが、無い変わりに、「真田さんと齋藤がガミラスの中枢を内部から爆破する」という「さらば」の白色彗星帝国の要塞内のシーンにすげ変わっているのだ。

 真田さんが自爆するシーンを見てヤマト世代のファンは「続編はないな」と確信すると共に「それじゃ、最後は古代の特攻か」も確信する。ここまでくれば、ヤマト世代ならばだれでも想像が出来るはず。

 ただ、この時、「森雪と一緒に特攻するのかな」という疑問も浮上する。

 放射能除去装置の知識があるスターシャが森雪に寄生しちゃったから、森雪は特攻しないだろう…という読みが効くが、でもあるいは…と、ここは、確かに、見ていて、ちょっと思い悩むところ。ちなみに、このあたり、ジュースを飲み過ぎるとオシッコに行きたくなる時間帯でもあるので注意が必要(笑)

 真田さんと齋藤の名セリフのやりとりのあと、ガミラス中枢は大爆発。

 行きは長いが帰りは早いワープで地球圏に帰還。

 宇宙病の沖田艦長が「懐かしい」あの名台詞(笑)を吐いて逝去。

 赤茶けた地球が目と鼻の先に近づいた頃、ヤマト世代のファンならば、内心で「デスラー艦!」「デスラー艦!」の一斉コールが起きているだろうが、実際デスラー艦は登場する。

 この「終わったと思っても、もう1クライマックスある」という物語演出は、1970年代からあったことを温故知新する瞬間でもある。

 ここでまたファンサービス。

 なんとガミラス・伊武雅刀が、アニメ版のデスラー総統の形で登場するのだ。一応、物語中では「ガミラスの精神体が人類の姿を模擬した姿」という解釈なんだろうけど、この瞬間、自分の左後方に座っていた同年代らしき人が「おお」と息を漏らしていた(笑)

 このお方、デスラー様の「ヤマトの諸君、我々は屈辱を忘れん種族だ」の台詞にもう一度「おお」を漏らしていた。ボクも漏らしたかった(笑)

 アニメ版では残党のガミラス軍がヤマトに特攻を仕掛けてきたが、この
キムタク版では超巨大戦艦型(笑)のミサイルが地球をロックオンしたという流れに。

 「さらば」の超巨大戦艦のシーンをここにもってきたわけですな。

 「沖田艦長、教えてください。ヤマトにはもう武器がありません」
 「古代よ、お前にはまだ命があるじゃないか」

という「さらば」での沖田艦長の亡霊とのやりとりはなく、キムタクは「いいこと思いついた!」という感じで、自分が単身特攻することを表明する。

 小学生の時「さらば」を見たときには「古代~死んじゃいやだ~。もっと他に何か手立てはあるはずだよ~」と思ったものだが、キムタク版を見ていた自分は「よしよし、よくぞ言った。いけ、今すぐいけ!」と思ってしまった。

 これは年老いと共に自分が汚れてきたからなのだろうか。

 しかし、終始、大人しく見ていた自分だが、あの前半ツンデレだった森雪がこのシーンで、「古代さんが行くなら私も残る。古代さんのいない世界なんて生きられない」と泣き叫んだ時には噴き出して笑ってしまった(一週間?前にはグーパン入れてた相手にここまで惚れられるのか!)

 作中の森雪は、小学生の時のボクのように純真のようだ。

 特攻進撃中に、キムタク古代が、艦橋内に金色に輝く、微笑む同僚達の亡霊を見る演出も「さらば」から。最後までファンサービスが止まらない。

 キムタク古代の超巨大戦艦への特攻成功を意味する大爆発カットの直後からエンドロール…という演出も、たしか「さらば」と同じだったと思うが、ここで流れてきた主題歌がエアロスミスだったんで、椅子から転げ落ちそうになった。

 最後は、全然ファンサービスじゃなかったよ(笑)

 本当のファンサービスを目指すならばこの曲でしょうよ!!


「ヤマトより愛を込めて」沢田研二(さらば宇宙戦艦ヤマト主題歌)

 キムタクが、この歌をうたってエンドロールしても、笑えて面白かったかも知れないけど、エアロスミスはびっくりしたよ。曲名は「LOVE LIVES」だって。ぐはは。

 そうそう。

 言い忘れるところだった。

 最後に、この映画の見どころをもう1つ。

 アニメ版ではマスコット的な存在だったお助けロボットのアナライザー。

 キムタク版では終始、キムタクが携行するPDAのボイスコンピュータとして出演していて、真っ赤なボディがいつ出てくるのか、と期待していたのだが、最後のクライマックスで8頭身の大量殺戮戦闘メカとして出てきます。

 たぶん、これは、ファンサービスというか…悪ふざけです。

 エアロスミス挿入と同質の(笑)

 ということで、ヤマト世代の人は、かなり「ネタ」として楽しめる映画です。30~40代の男同士で、見に行くといいと思いますよ。



このエントリーを含むはてなブックマーク
映画 | comments (5) | trackbacks (0)